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天津通信

【鍼灸マッサージ師】天津留学通信38 ~学会参加・花海棠・中医薬で体調管理~

2015年05月07日

今回は中後さんより、30度を超える暑さの天津 4月のレポートです
 

4月というと、日本では新入学、新社会人に代表されるように「新しく始まる」というイメージがありますが、中国で学生生活をしていると、後期の授業が既に3月から開始されているので、何かが新しく始まる、と言った印象はあまり受けません。
しかしながら、季節は確実に変化しています。中旬に雷を伴う激しい雨が降ってからというもの、季節が一気に春から夏になりました。下旬には最高気温が30度を超える日が続き、早くも半袖が活躍しています。

<中国語学習進捗>
後期の授業が始まり2ヶ月が経過しました。後期は中級のクラスで、時間数は前期と同様、360時間です。後期からは、前期の科目に加えて「読解」の授業が追加されました。この科目では、前期のテキストが、ほぼ会話文だったのに対し、新聞記事や通知文のような、ある程度まとまった長さの文章を、読み解く練習をしています。教科書の文章は、授業中に時間を決められて、初見で読み解く練習をしているので、予習はしなくてよいのですが、新出単語を説明する宿題が課せられています。大袈裟ですが、その単語に関しては我々が先生の変わりをするので、間違った情報を伝えないように、辞書を駆使しながら、できるだけ分かりやすく伝えるように努力しています。

先月、上柿さんからの報告にもあったように、中国語学習の目安としてHSKという資格があります。今月は授業中に、初めてHSK4級の過去問題を、全問通して受験する機会がありました。結果は比較的余裕を持って合格することができました。もちろん、正式なテストではないので、この結果にあまり意味はありませんが、HSKの要綱にある4級の目安「中国語を用いて広範囲の話題について会話ができ、中国語を母国語とする相手と比較的流暢にコミュニケーションをとることができる。」に少しでも近づいたのかな、と思います。早いもので6月の最終週で、語学の授業が終了します。残り2か月で、より一層努力をしたいと思います。


▲クラスメイトの送別会で語学の先生達と食事会


▲体育祭にて。留学生は揃いのTシャツを着て行進しました

<学会参加>
郭義先生のご厚意により、「中华中医葯学会」の「中医治未病标准制修订学术研讨会」(未病治療に関する学術検討会)に参加させて頂きました。この学会には、郭先生を始め、天津中医葯大学学長の張伯礼先生、国家中医葯管理局の方、また中国各地の中医葯大学の先生が一堂に会し、とても盛大な学会でした。天津中医葯大学の学生さんも多数参加しており、知識に対する意識の高さを感じました。

また、内容についてですが、未病治療について、国家的なプロジェクトとして、研究や制度の取決めが行われていることに、とても驚きを覚えました。郭先生の資料で印象的だったのは、「工欲善其事、必先利其器」という孔子の言葉を引用されていたことです。浅学のため、この論語の文章は知らなかったのですが、調べてみると「大工が良い仕事をしようと思ったら、まず道具を良く研ぐものだ」という意味だそうです。また、先生の資料には、文献はとても重要で、豊富な医学書籍は、中医学の宝。今はインターネットが発達した情報化社会、との記載があります。良い大工が仕事の前にきちんと道具を整えるように、中医学にかかわる人も、古典はもちろん、インターネットなどを駆使して文献に親しみ、最新の情報を常に入手しておかなければならない、ということでしょうか。

先日、郭先生の診察室を見学させて頂きました。午後3時間ほどの間に数十人の患者さんが訪れました。糖尿病、うつ病、癌など疾患も様々です。治療法は主に鍼灸なのですが、漢方薬の処方もされていました。このように、沢山の患者さんを治療していくには、と考えると、経験と技術の習得はもちろん、知識の充実も重要なのだと思いました。


▲郭先生、衛生学園の先輩の石井さんと会場にて

<相互学習進捗>
日本語専攻4年生の学生さん、20名程と彼らの課外活動に同行させて頂きました。まず向かったのが、バスで20分ほどの場所にある「天津外国語大学」。この大学は中国で最も早く設立された外国語専門大学の一つで、英語、日本語、欧州言語など様々な学科があります。日本語専攻の学生さんは、この大学で2年間日本語の基礎を学んでから、天津中医葯大学にやってきます。学生さんの中には、千葉大学へ留学経験がある方もいて、日本語のレベルはとても高いです。




▲4年生の皆さんと

次に天津の観光名所の一つである、「五大道」へ向かいました。各国の租界があったため、欧米風の建物が立ち並ぶことで有名なこの地域です。ちょうど花海棠(ハナカイドウ)並木が満開だったので、
日本ではできなかったお花見気分を味わえました。
学生さんと接していて、いつも思うのですが、彼らは本当に勤勉で、とても親切です。今後、中医学をリードしていくであろう彼らに負けないように、中国語に関しても、これから学ぶ鍼灸に関しても精勤していきたいと思います。


▲花海棠(ハナカイドウ)

<中医葯治療受診>
中国へ来て、早いもので7ヶ月が経過しました。食事には慣れてきたのですが、まだ1年通して経験していないので、気候にはまだ慣れていません。具体的には、日本と比較すると、天津はとても乾燥しているように思います。昨年9月から今年の4月までで、まとまった雨を見たのは、合計で10回もありませんでした。

このような慣れない環境のため、突然体調を悪くすることもありますが、中医薬の本場にいるメリットを生かして、必要な時はなるべく現地の中医薬で治すようにしています。種類が日本と比べて圧倒的に多いので、その中から自分の症状に合う中医薬を、先生のアドバイスを元に選んでいます。

私は、到着して直ぐの昨年10月に、幸運なことに張学長の診察を受けることができたのですが、今月は学長の指導のもとで博士課程を一度卒業し、二度目の博士課程を間もなく卒業される、江豊先生の診察を受けることができました。江先生は中医薬の先生ですので、診察をして、その患者さんに適した生薬を選び、配合してくださいます。病院で処方される中医薬は液体の物が多いのですが、今回は顆粒状の中医薬を処方していただきました。大学でも最近始まった取り組みのようで、案内してくださった日本人の先生も珍しそうに見ていました。

写真は実際の薬です。円形のプラスチック容器の中が扇形に7分割されており、その中に顆粒にした薬が入っています。



飲むときはお湯に溶かして飲みます。値段は配合される生薬により変わりますが、私の場合は1週間分(1日2回)で100元ほどでした。現在のレートですと、1元=19円ほどで、少し割高な感じもしますが、このように、診察を受けて、自分専用の中医薬を処方してもらうことは、中国留学の一つの醍醐味かと思います。
中後政則