トップページ 4つの学科 鍼灸あん摩マッサージ指圧 学校|東洋医療総合学科トップ 天津留学通信 【鍼灸マッサージ師】天津留学通信52 ~推手/病院実習いよいよ大詰め~

天津留学通信

【鍼灸マッサージ師】天津留学通信52 ~推手/病院実習いよいよ大詰め~

2016年06月02日

5月も下旬となり、最高気温が30度前後の日々が続いています。病院内はエアコンが効いているので快適なのですが、留学生寮のエアコンはまだ効かないので、ここ数週間は室内では団扇が手放せない生活です。
また、この時期になると、大学の学生さんが集まって卒業写真を撮っている姿をよく見かけます。我々は2年間の進修生という立場で、こちらに来ているので、正確にいうと「卒業」ではありませんが、このような光景を見ると、我々の研修期間も終わりに近づいていることを実感します。

2016年5月の天津、学校の様子をお届けします。

<臨床実習>
推拿の陳医師と、いままで通り付梅医師のもとで実習をさせていただいております。

陳先生についての詳細は、先月上柿さんがレポートに書いてくれていますので、ここでは割愛しますが、私は日本で陳先生の講演を拝聴して以来、いつか先生の実際の治療を拝見してみたい、と思っていたので、とても有難い気持ちがしています。

あいにく私は推拿の手技などについて、きちんと授業などで学んだことがないので、毎回が新しい発見で、日本の按摩や指圧との比較をしながら、先生の手技を拝見しています。首が痛い、と言って顔をしかめながら診察室に入ってきた患者さんを、30分程度の推拿治療で笑顔になるほど回復させてしまう先生の手技にはただただ驚くばかりです。

さて、当然のことですが、推拿治療は治療時間、ずっと患者さんに手技をし続けなければなりません。しかも、患者さんの数が多いので、鍼灸治療と比べると、治療者の体力も重要になってきます。そのような意味で、推拿の先生は、比較的男性が多いようです。体力勝負の推拿の先生方が、日々の鍛錬として取り入れているのが「推手」です。「推手」は太極拳などの中国武術における練習方法の一つで、相対した二人がお互いの腕を触れ合わせつつ、決められた動作を繰り返して行い、相手と適切な接触を保つ技術、相手を感じる能力などの向上を目指すものです。バランスを崩す、押し出される・押し倒される・関節を極められる等で所定の動作が継続できなくなった側には問題点が大きかった可能性が高いとされます。

天津留学通信-推手1
天津留学通信-推手2
天津留学通信-推手3

写真は陳先生とお弟子さんが、「推手」をしているところです。このように時間があるときは、治療後、1時間程度を使って鍛錬をしています。私も練習に参加してみたのですが、まだ数回なので、適切な感想ではないかも知れませんが、体力勝負というよりは、力を抜いて、相手の動きを感じ、合わせると言うような印象を受けました。

***

我々のプログラムにおいて病院実習は、月曜日から金曜日まで週5日間、診察室を開いている先生を自分で選択(先生をよく知らない初期は学校が割り振ってくれます)することができ、基本的に1ヶ月で実習先の先生を変えることができます。私は昨年の10月に、現在お世話になっている付医師の元にきてから、先生を変えることなく一つの診察室で学び続けています。実習が始まった当初は、1ヶ月毎に先生を変えるか悩んだ時期もあったのですが、今は一人の先生の元で学び続けてよかったと思っています。というのも、こちらの患者さんは、もちろん症状にもよりますが、基本的に月曜日から土曜日まで毎日、鍼治療を受けに来ますし、疾患によっては、先生も最低週4回受けに来なさい、と患者さんに指示を出しています。また、顔面神経麻痺などは初診からどんなに回復が早い患者さんでも1ヶ月以上かかるので、短期で変えていると、その経過を見ることが出来ないからです。

以前と変わらず刺鍼もさせていただいています。先生が忙しいときや、毎日来ていて慣れている患者さんなどには、「打っておきなさい」というように何も指示がない場合や、「ここは補法で」などの指示を受けることもあり、研修も終盤になり、いよいよ先生も集大成の指示を出している感じがします。最近、先生の評判を聞きつけてかどうかは分かりませんが、中国人の学生さんや、学部生の留学生も多く研修に訪れるのですが、どうやら大学の学部では、衛生学園のように実技をじっくりと練習する機会がないようなので、毎回鍼を打たせていただける我々は、実技研修という意味では、より充実しているように思えます。

天津留学通信52

さて、中国で生活をしていると、論語や孟子、老子になどの古典や、中医学の知識が生活に密着していることを実感します。例えば、日本では季節関係なく、一年中飲まれていますが、体を冷やす作用がある飲み物を冬場に飲んでいると、中医師ではない、語学の先生に「何故、体を冷やす飲み物を冬に飲むのか」と指摘を受けました。また、そもそも、夏場でもあまり冷えた飲み物を飲む習慣がないので、日本に旅行された先生は、氷の入った飲み物にとても驚いたようです。さらに、飲食店でも冬場は、体を温める肉類が好まれたりしています。

先日もこのようなことがありました。病院内のエアコンもまだ効かず、来る患者さんの殆どが「暑い、暑い」と連呼していた日、治療中は窓を開けないのですが、患者さんがいなくなったので、私が換気のため、診察室の窓を開けて、窓からの風を背中に受けて涼んでいると、すかさず先生に、「君子不立危墻之下」と言われました。これは日本語でいうと、「君子危うきに近寄らず」となります。汗をかいた首筋に冷たい風をあてると顔面神経麻痺など、病気の原因になるから、そんなところにいてはいけない。という注意だったのですが、すかさず古典が出てくるところなどさすが本場、と言った感じがしました。因みに、冬に比べると顔面神経麻痺の患者さんは少なくなった気がしますが、この時期の患者さんは、暑いので夜、窓を開けて寝てしまい、夜の比較的冷えた風邪を受けて発病するケースが多いです。このような事実から生まれた注意だったのだと思います。

さて、我々の研修も7月1日の病院実習で最終日となります。7月は帰国するだけですので、上柿さんと一月交代で書いてきたこのレポートも私が書くのは最後になるかと思います。少し早いですが、お世話になった先生方、先輩方に心からの御礼を申し上げます。ありがとうございました。
中後政則
  • icon_facebook.png
  • icon_twitter.png