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天津通信

【鍼灸マッサージ師】天津留学通信64 ~2年目の実習に突入して感じたこと~

2017年10月06日

 天津も秋風が吹き始め、昼間は30度近くまで上がる割に夜は10度台まで気温が落ち込むので昼間の活気とは打って変わって夜になると凛とした空気が漂う、そんな季節になってきました。
 「光阴似箭
 留学をして二年目がスタートし、HSK6級対策のため中国の四字熟語を勉強している際に見つけた言葉です。意味は光陰矢のごとし、今の私にぴったりな言葉です。間もなく中秋節を迎えると思うと、時間の流れを身にしみて感じます。

<病院実習>
 さて、2年目の実習はと言いますと。先輩の中後さんや上柿さんが実習をしていた付梅先生の元で実習をさせていただいています。月曜日から土曜日まで、午後の外来が無い時には継続して韓景献先生の外来で実習をさせて頂いています。伺っていた通り、付梅先生の豊富な知識や独自の視点から繰り出される中医学講座の数々に毎回圧倒されます、そして付梅先生の人生論哲学講座を患者さんや家族の方々と一緒に話しながら明るい雰囲気の中実習をさせて頂いております(笑)

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 元々付梅先生は日本にいらっしゃった事があるそうで、日本の文化や風習、日本人の人間性などこれでもかと言うくらいベタ褒めして下さいます。と共に日本の鍼灸に対しても理解が深く、例えば美容鍼ブームや現在日本で使われている鍼、鍼の技術に関しても色々な角度から突っ込まれるので、果たしてどう説明すれば勘違いされずに理解を深めてくれるのだろうかと、中国語の勉強もまだまだ足りないと感じる次第です。

こちらの付梅先生の外来で実習を始めて一ヶ月も経ちませんが、やはり感じるのは日本との差で、例えば先ほどの美容鍼の件ですが、中国と日本では鍼も違えば人も全く違いますし人が違えば需要も違って、需要が違えばそれに伴う市場も全く異なります。

日本の鍼灸に対する認識とは正反対に、一般的に中国では鍼灸はまだまだ治療という領域に留まっていて、というよりも結局のところ鍼で美容なら整形という思考なのかな、と中国で生活をしていると感じます。中国人は内なる美を大切にするのだろう。と思いがちですが、経済の発展と共に人々の美容や健康に対する概念も少しずつ変化して、若い人の間ではそういった内なる美や養生をはっきり言って微塵も感じ無い部分もあります。

中医薬大学内ではそういう雰囲気を感じる事はありませんが、いざ他大学の学生や中国人の社会人、西洋医の方々と話していると中医学は科学ではない、信じがたい。という話をよく耳にします。中国において中医学が衰退するとは考えられませんが、中西医結合医学があるという反面、人々が効果が目に見える、数値化できる西洋医学的発想を好むのは経済の発展があれば当然の過程であって、そもそも中医学を数値化する事が難しいのにそれを理解しようともしない私と同年代の中国の方々に、西洋医学で成り立っている日本で育った私のような日本人が中医学の良さを説明するのは何とも面白い話です。付梅先生の患者さんの中にも日本の西洋薬は素晴らしいと豪語する患者さんもいらっしゃるので、日本の西洋医学が素晴らしいと感じる部分もあり、では中国の西洋医学って…と感じる事も少なくありません。

 黄帝内経、難経、傷寒論、金匱要略を元に発展を遂げた中医学は立派な医学であり、その理論体系や効果に問題があれば淘汰され、尚も医学として成り立っているという事はその事実が存在しているからであり、中西医結合医学は中医学の整体観念や統計学的かつ個々に対しての治療に特化している部分、西洋医学の病に対しての治療方法、それぞれの特徴を生かした画期的な治療手段であると改めて感じています。もちろん中国はそれなりの歴史があるので実現されたという背景を抜かしてはいけません。

そんな話を付梅先生と話していると、気付いたら一ヶ月経ち、あっという間に一年経ってしまいそうです。先輩方のお陰もあり、私たち後藤学園の卒業生は刺鍼技術、知識に関して高い評価を受けています。何より先輩方の話をよく伺いますので、どれだけ充実した実習生活を送られていたのかと思うと、私自身も負けていられないな!と勝手に感じております(笑)

韓景献先生の外来では変わらず日本では出会うことのできない患者さんを診る事ができますので、とても貴重な経験をさせて頂いているとともに三焦鍼法の多様性、可能性を毎度感じさせられます。今後西洋医学の発展により、中医学でも何かしら淘汰される部分は無きにしも非ずだと私は考えますが、中医学はまだまだ効果に未知数な部分はありますゆえ、今後も経験を重ねて知識・医術共々深めていきたいと思います。

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 因みにこちら、本科生が中医学の基礎の基礎を学ぶのに使っている教科書になります。私自身時たま専門用語が聞き取れない場合があるので、こちらの教科書を使って勉強しています。書いてある事は日本の教科書と98%代わり映えありませんので、中医学をみっちり勉強している後藤学園の卒業生であれば中国語をクリアにすれば誰でも理解できる内容になっています。

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田中悠理