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土屋 慶幸

現場を見据えた学びがあったから、
卒業後すぐに開業することができました。

鍼灸マッサージ師

土屋 慶幸 さん

東洋医療総合学科 2015年卒業
ワークス北参道鍼灸院 院長

  • 卒業生
  • 開業

入学前は社会人

外資系証券マンが、鍼灸師を志した理由

私は衛生学園に入学するまでは、外資の証券会社にトレーダーとして25年間勤めていました。マーケットと向き合い続ける生活は、常に緊張状態の中にあってストレスフル。「ずっと続けられる仕事ではないな…」と、いつか独立して自分の会社を立ち上げようかと考えるようになっていました。

たまったストレスは、耳が聞こえにくくなったり、めまいがしたりするなど、体調にも表れるようになってきました。解消しようとトライアスロンを始めたのですが、今度はトレーニングで身体を故障してしまい、心身ともにスッキリしない状態に。病院に行っても、痛み止めとシップを処方されるだけ。どうにかならないかなと周りの人に相談したら、とある鍼灸院を教えてもらえました。そこで治療を受けているうちに、身体の状態が改善したのです。モヤモヤした気持ちも先生との会話で解消されていきました。

その頃に起こったのが、東日本大震災です。災害が起こるとマーケットが大きく動くため、通常より集中力が必要です。日本中が大変な時に安全なトレーディングルームでマーケットスクリーンを見続ける。こんなことをやっていていいのだろうか。もっと人の役に立てる仕事をしたい!そういうスキルを身に付けたい!という気持ちが強くなり、自分の身体を治してくれた「鍼灸師」を目指すことを決意しました。

年下の仲間たちと過ごした青春の日々

トライアスロンの合宿で知り合ったトレーナーの方が、たまたま衛生学園の卒業生でした。雰囲気がよくて、実技に力を入れている学校だと聞いて、さっそく説明会に参加することにしました。在校生の方々は本当に元気で、みんな大きな声で挨拶してくれていたのが印象的でしたね。説明してくださった先生は「資格だけ取りたいなら、ウチは大変だから入学しないほうがいい」と断言されていて、開業を視野に入れて勉強したいと考えていた私にとってぴったりの学校だと思い入学を決めました。

入学直後、自己紹介をするときに「青春を取り戻したくて入学しました!」と冗談半分に宣言したのですが、3年間はまさに笑いあり涙ありの青春そのものになりました。いちばん年下のクラスメイトは18歳。幅広い年齢の仲間たちは、「鍼灸師になる」という目標をしっかり持っている人たちばかりでした。志が高いから、みんなで一緒に辛いことも乗り越えられたと感じています。

厳しく学べたからこそ、卒業後すぐに開業できた

とある授業での一コマを、いまでも覚えています。ある学生が専門用語をなかなか覚えることができなくて、先生に向かって「こんなにたくさん覚えられません!」と訴えたことがありました。その学生に向かって先生は「覚えられないんじゃなくて、覚えなければダメなの。覚えられるまでに必要な時間は人それぞれだから、あなたは自分が覚えるためにどのくらいの時間が必要かを知って、その時間を使ってゆっくり覚えるようにすればいいんだよ。」とおっしゃっていました。その言葉を聞きながら、自分自身に置き換えて考えました。若い子に比べて手先が器用じゃないから、実技が苦手だと思っていたので、「そうか、習得するまでにかかる時間は人それぞれ。自分が必要とする時間を知って、その時間をかけて練習し、習得すればいいんだ」と考えました。その日以来、焦ることなく、自分のペースで実技室解放をフルに活用して、ほぼ毎日、2時間しっかり練習するようになりました。

衛生学園での3年間では、座学と実技をバランスよく学べたと感じています。「臨床医学各論」などで専門知識を学びながら、「鍼灸基礎実技」「鍼灸応用実技」「臨床実習」などで実践的に実技を身に付けることができました。なかには一般の患者さんに接することができる授業もありましたね。この充実のカリキュラムがあったからこそ、卒業後すぐに開業できたと感じています。学校によっては基礎実技は1年生のときだけ、授業後に練習したくてもつきあってくれる相手がなかなかいないというところもあると聞いていますが、もしそういう学校に行っていたら、自分の鍼灸院を持つまえに、どこかで3~5年ほど修行が必要になっていたのではと思います。

患者さん一人ひとりに向き合いながら

2015年3月に卒業後、翌月には物件を契約し、内装工事などを経て同年7月に開業しました。ストレス社会で頑張る方々を応援したいという思いから、会社勤めの方も通いやすい場所を検討し、現在の場所に落ち着きました。患者さんは20~90歳代と幅広く、運動器系疾患、スポーツ障害、自律神経症状やストレス対策、その他冷えやむくみなどでお悩みの方も来院されます。さまざまな患者さん一人ひとりにベストを尽くしながら、日々努力中です。

先日、鍼灸治療を初めて受ける患者さんがいらっしゃいました。10年来の頭痛持ちで、ひどいときには寝込んでしまい、頭痛薬の飲みすぎで胃腸の調子も悪いので服薬したくないと悩まれていたそうです。数回の治療で頭痛はなくなって日常生活を取り戻され「鍼灸に出会えて本当に感謝しています!」と、お礼のメールをいただきました。鍼灸師をめざし始めたころの「人の役に立ちたい」という想いが実現できたと感極まりましたね。患者さんが症状の改善を笑顔で報告してくれるときは、自分も本当にうれしいです。

学校選びの際には、「自分の大切な三年間を、どう使いたいか」ということを意識してほしいと思っています。実技授業の内容が薄い「国試予備校」的な学校よりも、目的意識の高い仲間と一緒に臨床家をめざせる衛生学園で、濃厚な三年間をすごしたほうがいいと私は思います。

※2020年9月にコロナ禍での治療院の現状を再取材しました。
 →インタビュー記事はこちら