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准看護師と看護師の違いとは?

2023年10月13日看護学科 通信制Blog

 みなさんは同じ職場で、同じ業務を行っている『看護師』と『准看護師』って何が違うんだろうと思ったことはありますか?なんとなく、違うことはわかるんだけどその違いがあいまいな方、日常のお仕事では同じようなことをやっている同じ看護職くらいの認識の方もいらっしゃると思います。そこで今回は同じ看護職として働いている「准看護師」と「看護師」の違いについて説明していきます。
 
 准看護師から看護師になりたいと感じた方へ。ぜひ本校にご相談ください。
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☆看護師と准看護師の法律上の違い
 まず看護職には保健師、助産師、看護師、准看護師といったものがあり、各々が別々の資格になります。看護職の業務などを定めている法律に「保健師助産師看護師法」というものがありますが、そちらによると
 
 看護師(第5条)
 傷病若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする。 
 
 准看護師(第6条)
 医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする。 

とあります。
 どちらも『傷病人若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助』が業となりますが、看護師は自らの判断で主体的に行うことができますが、准看護師は医師、歯科医師、看護師の指示を受けないと行うことができないということが大きな違いとなっています。つまり准看護師は同じような業でありながら、自ら考え、判断し、主体的に看護を実施することは法律で認められていないのです。

 また、看護師と准看護師は資格取得上の教育面でも法律上で違いがあります。
看護師は厚生労働大臣の交付する「国家資格」であるのに対し、准看護師は「都道府県知事の発行する資格」となります。それぞれの教育の基本的な考え方も、看護師は主体的に看護を行うため「科学的根拠に基づき、看護を計画的に実践する基礎的能力を養う」ことになりますが、准看護師の場合は「医師、歯科医師又は看護師の指示のもとに、療養上の世話又は診療の補助を対象の安楽に配慮し安全に実施することができる能力を養う」ということになります。


☆准看護師が「できること」と「できないこと」
 これまで見てきたように准看護師と看護師には法律上の身分や教育内容の違いというものがありますが、具体的にはどんなことができて、どんなことはしていけないのかを見ていきます。
 
【准看護師ができること】
 ・『指示のある』検温や血圧測定など
 ・『指示のある』点滴作成、配薬、与薬など
 ・『指示のある』食事の介助、入浴の介助など 
 ・『指示のある』手術の補助、処置の補助など 
 
【准看護師ができないこと】
 ・『自分で判断し』看護行為を行うこと 
 ・ほかの看護師に『指示を出す』こと
 ・看護計画を立案すること
 ・管理職への昇進

 同じ看護職でありながらできることに違いがある理由は准看護師に求められる要求水準が看護師とは異なるからです。 
 日本看護協会看護労務基準では、「看護を必要とする人を継続的に観察し、状態を査定し、適切に対処する」ということに対し、看護師は科学的根拠に基づいた看護計画を立案し実践することができますが、准看護師は看護師の立案した計画に基づき、看護師の指示のもと、看護を必要とする人に対する支援を行うことができることの範囲となります。



 また、看護職としてのキャリアアップを考えた場合、准看護師には取得できない資格があります。同じ看護職である保健師や助産師の資格取得を考えた場合、保健師助産師看護師法の第7条に
 
保健師になろうとする者は、保健師国家試験及び看護師国家試験に合格し、厚生労大臣の免許を受けなければならない。
助産師になろうとする者は、助産師国家試験及び看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。

とあり、准看護師免許では直接保健師や助産師の資格を取ることができません。
 免許ではありませんが、医療の高度専門化が進むにつれ、求められる看護の内容も専門性が高くなってきていることがあり、日本看護協会では「認定看護師」や「専門看護師」の認定を行っています。この認定を受ける場合にも看護師として一定の期間実務研修を受けることが前提となるため、准看護師免許ではたとえ同じ期間実務に従事していたとしても認定を受ける前提に立つこともできません。
 先ほどの「できないこと」の中にもあるように看護師長などの管理職になることもできませんので、看護職としてのキャリアアップを図るためには最低限「看護師」の資格を取得していなければなりません。

☆准看護師と看護師の給与の違い
 准看護師と看護師には法律上やキャリアアップに違いがあることを見てきましたが、その違いに伴い給与面でも大きな違いがあります。
 「令和4年度賃金構造基本統計調査」によると
 
<准看護師の平均給与>
 月収 27.4万円  賞与 62.7万円  年収 391万円
 
<看護師の平均給与>
 月収 31.8万円  賞与 86.2万円  年収 468万円

と、年収差で何と770,000円もの差があるのです。
 例えば50歳直前の准看護師さんが65歳の定年まで看護職で働くことを想定した場合、准看護師のまま働く場合と看護師にキャリアアップしてから働く場合では
 
 770,000円 × 15年 = 11,500,000円 

 なんと生涯賃金に1000万円以上の違いが生じるのです。
 もちろんあくまで平均ですので、年齢、性別、地域、経験年数、施設の規模などでも違ってきます。ただ統計を見ると全年齢層で看護師の平均給与の方が高いです。
 資格の違いではなく働く先の違いによっても給与に違いがあります。一般的に施設の規模が大きい施設の方が年収も高い傾向があります。それならば、准看護師の方も大規模な施設で働けば年収差をうめることができるかというと、それは難しいのが現実です。
 2019年の厚生労働省のデータによると、准看護師の方は病院、診療所または介護施設等で働く方が97%に上ります。これは看護師にも言えるのですが内訳には大きな違いがあります。
 看護師の7割は病院で働いています。一方、准看護師は病院で働く方もいますが、診療所、介護施設で働く方の割合が高く、この傾向は年々大きくなっています。



 つまり准看護師の方の就業場所は『診療所』『介護施設』が増え、反対に病院や訪問看護ステーションは減少してきているといえます。この傾向は首都圏などではさらに強まっています。
 実際に転職を考え、求職活動をした経験のある方は実感されていると思いますが、『准看護師の求人が非常に少ない』『希望する場所での求人がない』『限られた求人しかない』という現状があることは事実です。
 准看護師と看護師では給与だけでなく、就業先の選択という点でも違いがあるのです。

☆まとめ
 准看護師と看護師について、法律上の違い、教育面の違い、キャリアアップの可能性の違い、給与面の違い、就業先選択の違いと様々な面での違いについて触れてきました。ではこの違いを無くすためにはどうすれば良いのか。やっぱり「看護師」の資格を取得することが一番なのではないでしょうか。
 准看護師から看護師になりたいと感じた方、まずは一度本校にご相談ください。

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