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天津通信

【鍼灸マッサージ師】天津留学通信56 ~中国は立冬&24歳の誕生日を迎えました~

2016年11月30日

 11月も引き続き天津から田中悠理がお届けします。
 日本ではスポーツの秋、勉強の秋、食欲の秋とはよく言ったものですが、こちら天津はとうに秋を通り越して真冬です。日本でも54年ぶりの早さでの初雪だとか、寒い日が続きますが今月も頑張っていきましょう!
 先日は天津の街でも初雪が降りました。立冬を界により一層寒くなり、初雪が降って以降は最高でも0度を超えない日々が何日か続いて、私の住んでいた埼玉ではまず有り得ない気温となっています。

天津の初雪  

車も真っ白


<立冬>
 日本では立冬に何かを食べるという習慣は聞いたことありませんが。中国では立冬の日に餃子を食べるそうです。そもそもなぜ立冬になると餃子を食べるかという話ですが「張仲景」という今では医聖と称えられる方の「祛寒嬌耳湯」の話をしないわけにはいきません。そうですあの傷寒論を著作された方です。その説では冬至のこの時期に彼はある熱病に出くわしたそうです、飢えと寒さのために耳が凍傷になる患者が続出。そこで彼は肉、唐辛子、薬剤などを煮込んだ餡を小麦粉の皮に包み耳の形にしてスープと一緒に患者に食べさせたそうです。そして彼らは熱病を抑え、耳の凍傷もたちまち良くなっただとか。そして彼らはこれを「餃耳」「餃子」と呼んだそうです。地方によっては「烫面饺」「扁食」とも呼ぶそうです。餃子があの形になっているのはそういう理由なのかもしれません。ちなみに北方の天津や北京では餃子、南方では魚や鶏肉を食べるそうです。今年の立冬は11月7日で、その日は中国人の友達と近くの有名な餃子屋さんに食べに行きました。こちらの餃子は一般的に水餃子ですので、暖かい水餃子と友人の計らいで身も心も温まりました。

立冬の餃子


<暖气、北京—天津の移動手段> 
 さて、この時期になると少し気になってくるのがpm2.5。どうやら今年もたくさん飛んでいるようで、暖气という暖房器具が11月5日になると解禁になるので一斉に皆その日に使い始めます。その日、朝6時に部屋を出た時はけっこう衝撃でした(笑)その暖房器具ですが、金属製の筒の中を熱湯が流れていて、そこに風を送って温風にするというなんともシンプルな仕組みの物になっています。その熱湯を作り出すのに恐らく鉱物を燃料にするわけですから、何となく理解はできるかと。
 その日は日本から来る友人との待ち合わせで北京に出向いたのですが、その日が土曜日だという事をすっかり忘れていて事前にバスのチケットを購入していませんでした。案の定午前中のチケットは全て売り切れてしまっていて、仕方なく別の手段で行く事に。待ち合わせギリギリになってしまいそうだったので、近くに停まっていたタクシーで北京まで行こうとおじさん集団に値段の交渉を…北京空港までは、1000元⁈ まあ驚愕の値段を突きつけられました、今日は見通しが悪いからという理由です(笑)因みに予定していたバスだと北京空港までは直通82元で行けます。私みたいに無計画で何も分からない(ような感じの)人たちに声をかけているようです。そのバス停の近くにはその方々が沢山いらっしゃいますので、バスで来た際は道路を走っているタクシーに声をかけましょう。初めて来た時に大学までそのタクシーを使ったら過剰に請求されました。よくある話です。いい経験になりました。
 前置きが長くなりましたが、肝心の北京首都国際空港までの行き方を、バスを使う手段、新幹線(高铁)を使う手段。両者の特徴を簡単に書いてみたいと思います。
 ○バス
  ・空港から2時間で学校の近くまで行ける。82元。
  ・荷物が多い時は断然こちらの方が便利。
  ・空港でチケットを購入する場所が少し分かりづらい。
  ・1時間に1~2本である。土日は混み合う。
  ・トイレ休憩が無い。
  ・景色を見ながら黄昏る事ができる。
 ○新幹線
  ・天津駅から空港までで3回乗り換えをする。
  ・新幹線、地下鉄共に本数が多い。
  ・途中下車する事ができる。トイレに行ける。
  ・乗り換え駅の近くや駅構内には色々なお店がある。
  ・値段は合計で80元~
  ・景色を見ながら黄昏る事ができる。

  以上、両者の特徴を書いてみましたが、値段に大差は無いのでその時の気分によって変えてみるのもいいかもしれません。また別の方法も見つかり次第こちらにご報告させて頂きます。


<語学学習進捗>
 ・初級クラス
 語学学習初級クラスでは既にHSK3級の内容を終えました。相変わらず圧倒的なスピードで授業が進行しております。
 それぞれの科目でテストも有り、基本的な会話に関しては皆それぞれがクリアしている模様です。進度が早いせいか、内容も教科書だけでなく私生活の事に関して先生方と会話をする事が多くなりました。授業の半分を会話で使ってしまうことも多々、各国の文化や風習、習慣、流行、様々な情報を知る事ができるので、毎日の授業がとても楽しいです。先日は口語の授業で自国の観光名所をプレゼンするという内容があり、私は伊豆の説明をさせて頂きました。河津桜は一般的な桜より早咲きである、近くの山頂からは富士山を眺める事ができる、鯛は美味しいけど高いから来る時はお金を沢山持ってきて、交通手段は…等々、授業中に習った言葉をはじめ日々の生活で培った言葉を駆使して説明する事ができました。
 さて、初級班の中国語の授業もいよいよ何度の高いものになってきています。中国に来るまではHSK4級のリスニングテストが出来てるから街中でもそんなに問題は無いだろう、と思っていましたが実際は聞き取れない事が多々。その逆も然り。最近では街中でもスラスラ聞き取れるようになって来て自分のリスニング能力が上がったかと思えば、HSK5級のリスニングテストの内容が聞き取れない事が多々。そういった事が何故起こってしまうのかも考え授業の内容も詰めていきたいと思います。最近では語学能力が伸び悩んでいると自覚しているので、ここで折れずに精進していきたいと思います。


<医学用語クラス>
 先月から私が行き始めた医学用語のクラスは「実用中医学中国語」の読み書きの授業だけでしたが、今月からそれに加え「内科学」「診断学」の授業にも参加させて頂いております。
 もちろん今月から参加させて頂いている後者の2つに関して中医学的要素は全く含まれておりませんし、日本でもこの手の内容は深く学んでおりませんゆえ、正直なところ予習と復習が無いとついていけない状況になっております。いわば臨床医学総論と臨床医学各論の内容を濃くして中国語バージョンにしたとでも言った方がよろしいでしょうか。両者とも比較的臨床に近い内容のものになっております。この2つの勉強を学ぶ意義としてはまず病院内で聞き取れるボキャブラリーの数を増やすこと、そしてレッドフラッグサインを熟知する事。以上の2点が1年間で学べる事の限界かと思います。現時点では先生の話を聞き取るだけでも大変なのですが(笑)後者に関しては日本に戻った際にも応用が出来ると思います。臨床現場においては最重要項目となっておりますので、常にハングリー精神だけは持ち続けて頑張りたいと思います。
 先日「実用中医学中国語」の授業でテストがありました。単語の穴埋め、選択問題、読解、作文、以上の4項目でしたが、途中参加のクラスだったので必死になって勉強した甲斐があり比較的いい成績を残す事ができました。最後の作文は主題が「忘れられない事」で200文字以上の作文を書くというものでした。単語のボキャブラリーも増え、以前から私自身問題視していた同じ接続詞を何度も使ってしまうという悪い癖も今回は少し改善できたのかなと思います。簡単な一例を挙げますが、中国語には「だが、しかし、だけど」と言った逆接を述べる場合に使う単語が幾つか存在します。これを毎度同じ単語を使っていたら無論美しい文章にはなりません。もちろん同じ意味なので内容に変化はないのですが、HSK高級レベルになってくると同じ意味でも全く違う単語が多く文面上に現れますので、この授業はその点をクリアにする意味でも有意義な授業だと感じています。

医学用語クラスの様子


<病院実習>
 先日日本ではWFAS(世界鍼灸学会学術連合大会)が行われました。その際に韓景献先生も講談の場があり、中国から日本に向かわれました。最近では月に一度は日本に行っているのではないかという多忙さです。自分もWFAS行きたかったですが、それと同等の貴重な経験を今はさせて頂いておりますので、次に日本で開催する時には参加したいと思います。
 病院実習を始めてから二ヶ月が経ちました。今では週に2~3回、国医堂の問診には授業の関係で行ける日と行けない日があるのですが、それでも毎週C座には行かせて頂いております。先日足三里に刺鍼する際に患者さんに痛いと言われてしまいました。初めての経験だったので少し驚いてしまいましたが、次回その患者さんに刺鍼する時は同じ事は繰り返さないように日々練習を重ねたいと思います。もちろん一人で勝手に落ち込んでいても仕方がないので、その後もより率先して患者さんに刺鍼をさせて頂きました。患者さんでも名前を覚えて下さる方々も多くいらっしゃいますし、「君は中国人かと思った」「前より随分中国語が上手くなったね」「君に抜鍼してもらうと彼女(患者さん)も喜んでる」等々、会話だけでなく刺鍼の技術ももっと向上せねば、と考える毎日です。刺鍼する場所は主に下腿の三焦鍼法基本穴のみで、補瀉法はその経穴によってもちろん異なります。日本で学んだ手技、こちらで応用できる手技、それぞれ自分も順応できるよう鍛錬を重ねたいと思います。もちろん刺鍼だけでなく抜鍼も経穴の意味を考えながら行いたいと思います。新患の方がくる度に病歴や先生の診断を聴きながら経穴と照らし合わせ日々の実習を今後もより良いものにしていきたいと思います。
 さて、その上で必要になってきますのが中国での参考書です、以下の参考書は中国人の友達に図書館から借りてきてもらいました。本当に中国人の友達は本当に皆優しいです。一つは経穴の位置と用法、効果が図解で示されているのでとても分かり易いです。もう一つはこちらの天津中医薬大学の本科生も使用してる教科書になります。どちらも10年以内に出版されている本になりますので、恐らく日本の教科書とは大きな差異は無いかと思います(もちろん細かい部分での差はありますが)。残念ながら日本で学んだ教科書を日本に置いてきてしまったので照らし合わせながらの勉強は今は難しいですが、春節で帰国した際にはこの手の参考書を沢山中国に持ち帰ってきたいと思います。何か気付いた事や面白い内容がありましたらこちらの報告にも載せさせて頂きたいと思います。

中国の参考書

 私事にはなりますが、今月自身24歳の誕生日を迎え沢山の中国人の友人やクラスメイトからプレゼントを頂きました。こんなにプレゼントを頂いたのは生まれて初めてじゃ無いかと思うくらいです。積極的に中国人の方との交流を深め、毎週末には日本語を勉強している中国人の友達と一緒に勉強をする。サークル活動では一緒に日本の歌を歌い、それ以外でも週末にはその友人たちと出かける。連絡さえすれば分からない事だけでなく詳細やそれ以上の事まで教えてくれる。そんな友人を持ててとても毎日充実した生活を送れています。10月末の話にはなりますが、ハロウィンの行事にも参加させて頂いたりと、まあ至れり尽くせりです。笑
 情に熱い彼らに逆に自分が何かしてあげたいそんな気持ちにさせられます。これからも彼らとの交流を大事に日々楽しんで頑張りたいと思います。勝手ながら頂いた物の写真の一部を載せさせて頂きます。ケーキ…25歳ではありません(笑)

 終わりに、この秋~冬にかけての時期は鬱病の患者が多くなると聞きます。中医学で言うところの七情が激しくなるために鬱病になる。というのは、七情が外界の刺激により干渉されそれが長期的刺激となり鬱病という状態を生む。外界の刺激とはすなわち天気や気温も含めるという事です。突然の強烈な刺激、長期的な過度の刺激。中医学における鬱病はそういったところです。天気によって人の感情が左右されるのはこの事にも裏付けされているのでは無いでしょうか。陰鬱なこの時期には日光を浴びたり音楽を楽しむ、趣味にかける時間は大事だという事です。もちろんそれも過度な刺激になってはいけませんが…何より自分の身体の事は自分がよく分かるはずです。頭脳で理解するのではなく身体で。なので自分に合った気分転換の方法を見つけ、季節の物を食べて養生をする。そうやってこの陰気な季節を乗り越えていきましょう。

誕生日ケーキ クラスメイトからのプレゼント

クラスメイトからのプレゼント2

誕生日を祝ってくれたクラスメイト

ハロウィン記念撮影

クラスメイトからのプレゼント3