東洋医療総合学科Blog

第4回「機能解剖学研究会」を開催しました!~触診技術編~

2023年03月07日今日の東京衛生

1月26日(木)に第4回機能解剖学研究会が開催されました。
今回のテーマは、「触診技術」です。

2年生になると鍼灸もあん摩マッサージ指圧も応用実技がはじまります。
応用実技では普段臨床をされている外部の先生方が東京衛生学園の学生のためにわざわざ足を運んでくださり、臨床で遭遇する疾患や臨床で使う手技を教えてくれる貴重な時間です。

それだけに基礎実技では触れなかったツボや筋肉を触る機会がたくさん増えます。
我々は体表から患者さんの体の中の状態を把握するため、この触診技術がとても大切になってくるわけです。
そこで、授業で習ったものの、なかなか指で触れるには難しい筋肉や、筋肉と筋肉との間の溝(筋溝と言います)を今回は復習しつつ、学生同士でお互いに確認していきました。

写真:デモでランドマーク(目印)の確認です。


写真:資料を見ながら場所の確認です。


解剖学の教科書では見たことある筋肉でも、いざ実際の体を前に触れようと思うと、結構難しく、間違った部分を触れていることが多いんです。

今回は下肢の前後の溝を指でたどる練習と、お尻の奥深くにある梨状筋を指で触れていくことをやってみました。
下肢の後ろの筋溝は経絡経穴概論の中で登場する「足の太陽膀胱経」のツボが並ぶ溝です。
学生が想像するよりも溝は結構深いです。

そのため筋肉そのものを押している感覚と筋溝に指が入った感覚は全く異なります。
まずはこの筋溝をお尻の付け根からアキレス腱までしっかり触れるように練習しました(正確にはふくらはぎの下半分は筋溝がなくなります)。

写真:イヌイさん、これが溝です!


患者役の学生はうつ伏せにしたので、多少なりとも足がねじれるため、筋溝もねじれます。
それを学生は一生懸命たどっていました。

患者役の学生からも「そこは違うよ!もっと内側だよ。」とお互いに確認しながらやってました。
患者役も勉強になります。

写真:みんな集中しています。


写真:「これですか?」「そうそう!」


次に体の深くにある筋肉「梨状筋」を触れる練習をしました。
梨状筋は2年生の鍼灸応用実技Ⅰの中で鍼を刺すのですが、お尻の深いところにある筋肉なので、鍼を刺すのがとても難しい筋肉です。鍼も2寸(長さ6cm)の鍼を使用するんです。
ただ臨床ではこの筋肉が原因の疾患が多くあるので、ちゃんと触れることがとっても大切なんです!

学生は応用実技で習った通り、体表で触れる骨を指標に梨状筋の場所を体表から推測していきます。
それから実際に指で体表から奥深くにある梨状筋を触れてみます。
うまく指で触れることができると、指先にゴリゴリした固い筋肉が触知できます。

ちゃんと触れることができた学生からは「これか!」と納得の声が上がって、梨状筋を触れた学生からは「うぅ…(涙)」とうずく痛みに耐える声が漏れていました(梨状筋ってちゃんと触れると結構痛いんですよね)。

最後の残り時間で下肢の前面も触れてみました。
膝蓋骨から大腿四頭筋の筋溝を触れて、筋溝の両側にある大腿直筋や外側広筋を筋溝から指の向きを変えることで別々に触れられることもできました。
外側広筋って意外と大きいんですよ!

写真:「こっちが(大腿)直筋で」


写真:「こっちが(外側)広筋です」



こんな感じで、学生同士でお尻や下肢の前後の筋肉の触知する内容でしたが、隣近所の学生の体も触れながらみんな必死に触りまくってました!
立体的なイメージを作るって紙面や画面上だけでは難しいですね。
何事も必ず体で覚えていくことが基本です。

実際の臨床では触れる技術というのはとても大切です。
なんとなく触れてなんとなく施術ではなく、しっかり触知して適切な場所に適切な施術を行うことで安定した効果が発揮されます。

そのためにも普段から患者さんを触れる時に意識するように心掛けていると触診技術が飛躍的に伸びていきます。
意識しすぎて見失うことも多々ありますので、何度も練習するわけです。

そのためにも学生には臨床の技術を教えてくれる外部講師の先生方の鍼を刺す場所や刺し方、マッサージする時の手の動きだけでなく、患者さんのどこにどのように触れて、体の状態をどのように確認しているのか、施術前の動きにも注目してほしいなと思います。

国家試験まで1カ月を切って気分が重い専任教員 川井