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天津通信

【鍼灸マッサージ師】天津留学通信61 ~ 中国での3連休・病院実習・火の用心~

2017年06月06日

 
5月の初めに日本のゴールデンウィークとまではいきませんが、中国にも3連休がありました。
 週末と月曜日にあたる5月1日がメーデーに重なるので3連休。結局出不精な私はどこにも行かずに天津でのんびり…もっとも人が多すぎでどこに行く気にもなれませんでした。ただこの連休最後の日に同じ国費生である友人が内モンゴルから駆けつけて下さり、互いの学習の進捗や、情報交換をする事ができ、こういったネットワークを広げられるのは国費留学という素晴らしい制度のお陰でもあり、多少なりとも祝日らしく過ごすことができました。

 そもそもこの連休の最後に当たる5月1日、労働節といって国際的に決められている休日。(日本は例外ですが。)この日は多くの企業は休みになり、道路も混雑、商業施設や観光地は人だらけ。私自身この人混みも半年くらいで感覚は麻痺し、平日早朝の新宿駅かの如く人が多くても微動だにしなくなりました。
 元々日本にも勤労感謝の日という祝日があったのでこの5月1日は恐らく祝日にはならなかったのでしょう。もっともゴールデンウィークがあるので、それ以上にこの日が休みになったら超大型連休となってしまいます、色々な理由からこの日は日本では休みにならなかったのでしょう。

<学習進捗>
 中間テストも終わり、読み書きのテストでは決められた単語を使い作文を作る問題、リスニングの授業ではHSK5級の模擬テストをする形になっています。
 ここまで来るともう普段の生活では言葉において苦労するという事はなく、特に方言が強くなければ会話を成立させる事に難はありません。ただ方言を喋られてしまうと…ちんぷんかんぷんです。中国人の友人と常に相互学習をしているのですが、その友人でさえ方言を喋られると聞き取れない、まさに中国は「博大精深」(bo2da4jing1shen1)そのものです。(奥が深いという意味です)
 最近の授業では四字熟語をリスニングの授業内で学ぶ多く、語源や由来を中国語で聞き取りながら理解する。(HSK6級レベルのリスニングなのでとても難しい)このような進行をとっています。読み書きの授業では中医学における専門用語の学習に特化した内容に変化し、残すところ期末テストのみとなっています。語学学習も大詰めなので、残り1ヶ月張り切っていきます。

<病院実習>
 引き続き韓景献先生の元で実習をさせて頂いております。
 つい先日、ある患者さんとのやり取りのことです。その患者さんはご高齢で糖尿病を10年来患っており、加えて脳梗塞—萎縮、高血圧、心臓の大きな手術も経験している極めて身体に負荷のかかっている状態での来院でした。現在の主訴は糖尿病からの神経痛やむくみ、脳梗塞の後遺症である麻痺でした。

 何を申そう世界の中心は西洋医学で回っておりますゆえ、いきなり糖尿病を患う・脳梗塞になる→中医学的治療を施すと言うわけではありません。そもそも韓先生の外来にいらっしゃる患者さんで、こういった西洋医学でなかなか効果の上がらない患者さんに関しては、先に大きな(西洋医の)病院での診断・治療を受けてからこの第一付属病院を訪れる事が殆どです。ですのでこの患者さんも、天津の中心部にある病院で診断・治療を受け、それでも尚効果が上がらないのでこの病院に来るに至った。そういう事になります。それを考えると最終手段としての中医学、そんな解釈は日本の中医学(伝統医学)に対する認識と大差は無いのかもしれません。

 さて、ここからが中医学の登場になるわけですが、血圧の管理は中西医結合医学の得意とするところ、それに対して梗塞による弛緩性麻痺と糖尿病その他症状の緩和にどれだけ対応できるかというところです。私がここまで実習をして感じた事は、こういった病気の治療を病院だからこそ出来る部分があり、その反面も必ず存在しているのだと感じました。何でしょうか。形態化、標準化されているだけに日本の病院と同じように感じる部分が多々あり。治療や技術に関しては日本にも素晴らしいものがあると改めて感じました。ただこの部分は保険治療、自費治療であるという部分を鑑みなければいけないので、両国の鍼灸治療を同じ天秤にかける事はとても難しいです。そうして標準化されている事により出来うる事が沢山あるのだと実習を通して感じております。

 話は先ほどの患者さんに戻りますが、三焦鍼法の基本穴に加えて各症状に対応したそれぞれの配穴を行います。経穴治療+局所治療で力の無い部分には補の手技を施し、それ以外の部分については三焦治療に基づいたそれぞれの補瀉手技を施します。これは私の勝手な意見ですが…高齢者かつこの重い病状、それに付随する神経症状、痛みだけに着目した際に中医学やら西洋医学やらではなくて、何より患者さんに対して何を優先すべきなのか、そんな倫理的な考えも必要なのだと改めて考えさせられました。というのも、この患者さんに対して治療後、少し肩の動作と刺鍼をしただけで、一週間後来院された時の患者さんの涙と家族の方の嬉しさに溢れた表情を見た時、理論や知識が無ければ治療は全く出来ませんが、総合的に何がその患者さんに必要であるかを見抜く、そんな力も治療家として必要なのだと考えさせられました。それ以降というもの、その患者さんと家族の方からは指名されるようになり、少し嬉しかったです(笑)今後もこの患者さんに注意して実習を続けていきたいと思います。

 このようなケース、日本の鍼灸治療の現場ではなかなか遭遇しませんが、そういった理論・知識の部分だけでなく治療家としての倫理観や総合的に考察する力も実習の中で伸ばしつつ、かつ日本の鍼灸も意識しながら継続して充実した実習ができればと思います。
  
天津病院実習


 最近天津では火事が多発しています。天津は雨が降る事が少なく乾燥していますので火事が起こりやすい気候です。つい先日近くの天津大学で大きな火災がありました。
 
天津火事1

天津火事2

 原因は蚊取り線香だそうです。実際私の住んでいる天中賓館の方が古いので火気には十分気を付けたいです。



田中悠理