リハビリテーション学科Blog

【理学療法士】コロナ禍の訪問リハビリテーション

2020年12月09日リハビリ

コロナ禍において訪問医療・ケアの現場でも様々な影響が出ています。
本学園と事業提携する「こひつじ会グループ」の理学療法士・上村豊さん(訪問看護ステーション勤務)に、訪問リハビリの現場で起きていること、対応について紹介していただきました。
 

コロナを踏まえた現場での対応
 今回、コロナ禍において、利用者・職員ともに可能な限り感染リスクを抑えて、安心して訪問のサービスを提供できる体制を迅速に整えることが重要でした。
 世間ではコロナ禍で先の見えない不安が広がっている中で、利用者・職員それぞれの不安や訪問に対する思いを汲み取った上での対応マニュアルの作成は大変でした。しかし、職員が一丸となり、それぞれの思いを確認できたことは今後のサービスの提供にあたり、非常に有意義な時間であったと感じております。
 また、比較的早く対応についての案内が利用者・職員にできたため、予想よりも利用者の訪問キャンセルも少なく、定期訪問の提供ができました。

理学療法士が受けた影響
 特に自立度の高い利用者に関しては、訪問頻度の減少や一定期間の訪問キャンセルなどがあり、更には日常生活においても屋外での活動を自粛される方もいたため、身体機能の低下が懸念されました。訪問再開後の日常生活動作の低下はありませんでしたが、ベッドで横になっている時間が多くなり、バランス機能や全身持久力の低下、座位姿勢の延長による後弯姿勢の増強などの姿勢の変化がみられ、理学療法士による定期的なサービスの提供の必要性を強く感じました。
 このような事態は今後も続くことが予想されるため、ご自身での自主トレーニングの提供と継続が必要と考え、今後はどなたでもできる運動の紹介も検討していきたいと考えております。
 また、職員間の情報共有においては直接的な接触は控えていましたが、当事業所では電子カルテを導入していたこと、各利用者宅に訪問用のノートも置かせて頂いており、情報共有は円滑に行えたと思います。

コロナ禍で得た新たな気づき、知見
 今回のコロナ禍を通じて、世間の状況や利用者の状態によっては通常通りのサービスが提供できないことがあり、可能な限りご自身でも身体活動の管理ができるような指導も必要であること、サービスの提供が必要な方には事前に感染対策の案内と日々の体調確認を実施することの重要性を学びました。
 また、サービスを受ける側と提供する側という関係性だけでなく、お互いに意思や情報を共有することで、よりよい在宅生活が過ごせるのだと改めて感じました。

これから理学療法士をめざす皆様へ
 訪問の理学療法士は小児から高齢者といった様々な年代の利用者と何年も関わっていきます。年齢や環境の変化がある中で、必要な運動機能を評価・治療プログラムを立案して、在宅生活がよりよく過ごせていることに関わることにやりがいを感じ、私自身、理学療法士になってよかったと感じております。
 どの分野でも理学療法士としてのやりがいはたくさんあります。皆様も、理学療法士になってよかったと思えるものをみつけてもらえたらと思います。