東洋医療総合学科Blog

【鍼灸マッサージ師】モクサアフリカ講演会を開催しました

2014年06月04日イベント

5月23日(金)、東洋医療総合学科の特別授業の講師として、「Moxafrica(モクサアフリカ)」海外業務責任者の伊田屋幸子先生にご来校いただきました。昼間部・夜間部の学生約120名が参加し、アフリカで結核患者に行われている艾(もぐさ)を使った治療のこと、アフリカでの結核の現状についてお話を聴くことができました。

モクサアフリカは2008年にイギリスの2人の鍼灸師によって発足した登録チャリティ団体で、アフリカの結核患者の補助治療として直接灸を施術しています。
モクサアフリカ-1
実際のアフリカでは十分に器具などが整っていない医療施設で治療を受けていて、薬剤耐性を伴う結核を流行らせている状況にあるそうです。そのような環境で注目されたのが、1930年代にお灸と感染症の研究をしていた原志免太郎先生の治療方法で、原先生はお灸による結核治療だけでなく免疫力への影響にも着目されていました。
モクサアフリカ-2

お灸というものは艾があれば簡単かつ安価で施術することができます。艾は草餅などで使われるヨモギが原料ですから、アフリカの地でヨモギを育てることができれば現地で艾を作ることも可能になります。実際どのヨモギがよく育つのか実験しているそうです。

結核が蔓延する理由として、彼らの生活環境、結核治療で使われる薬の副作用、HIV患者の多くが結核感染の発見が遅れてしまうことなどを挙げていました。医療機関での結核治療は毎日行われます。そのために病院まで通う労力も大きいともおしゃっていました。お灸は練習さえすれば、自分自身に施すことができ、自宅でも続けることができるというメリットがあります。ボランティアスタッフは患者にお灸をすえる場所、お灸の作り方などを細かく指導し、セルフケアをしてもらうことで、お灸による効果を患者自身に体感してもらっているそうです。

つい最近、この結核に関するお灸の有用性が研究結果として出たこともあり、今後お灸が結核患者の救世主として更に広がっていくことが期待されています。

この発表を目の当たりし、私たちが学んでいる技術というものが世界中でこのような形で成果を上げていることにとても感動しましたし、私たちが目指す医療人としての心を改めて確認した時間でした。
私たちも何かお手伝いできないかと思い、これまで学生が練習で捻った艾を捨てることなく保管しておいたものをモクサアフリカに寄付することにしました。大きいダンボールにギュッと詰まっていたのですが、学生がこんなにも練習してきたんだと思うと、すごく感動します。本来ふわふわしている艾がギュッと詰まっているわけですから、ものすごい量なんです。この艾がまたアフリカ活躍すると思うと、ずっと保管していて良かったと改めて感じました。
モクサアフリカ-3

結核患者が1年間治療するのにかかる費用は約3000円だそうです。そんなこともあって学会に引き続き当校でも募金を呼びかけましたが、伊田屋先生の講演に感動した学生が次から次へと募金してくれて、あっという間に募金箱がいっぱいになりました(驚)
伊田屋先生のお話を聴いた学生たちが今後日本のみならず世界各地で活躍するような気がした1日でした。

専任教員:川井孝治