東洋医療総合学科Blog

【はりきゅうマッサージ治療室だより】人と自然の統一性

2023年08月25日はりきゅうマッサージ治療室だより

「人と自然の統一性」
  
 暦では秋となり2週間余りが経ちましたが、相変わらず猛暑日が続いております。台風の到来があり気象が安定しない日も続きました。皆さん体調はいかがでしょうか。 

 私事で恐縮ですが、朝晩でも高温多湿の日が多い夏場は、ジョギングのモチベーションが全くもって上がらず、必要な運動量を山歩きでまとめて精算することが多くなります。





歩き始めは、日頃の様々な雑念が脳裏を過っては消えということを繰り返しつつも、急登に差し掛かる頃には、周囲の自然に思いを馳せるようになります。足元の草花を見て「どのような一生を遂げるのだろう」、踏みしめる石や土を足で感じ「どのような経緯でここに存在しているのだろう」等と自問自答しているうちに無の境地に入っていきます。


         


そして無事に頂上を踏んだ時、東洋医学で最初に学ぶ「天人合一」という言葉が浮かんでくるのです。人と自然の統一性、即ち、人と自然は一体であること、人の形と機能が自然界と相応していることを意味します。人も自然も宇宙を構成する一つの要素であり、更に人体の中も、小宇宙であるかのように、互いの器官が関わり合いながら統一体として機能している、という考え方です。人は自然や環境と関わり合いながら生きているということですね。

東洋医学のこのような考え方は、どことなく抽象的であり、近寄りがたいものがあるかもしれません。が、宇宙という空間で、何も無い所から地球が生まれ、何も無い地球に生物が誕生し、様々な派生や進化を遂げて今の人間が存在している、ということを考えた時、天人合一思想は途方もないことではないと思えるようになりました。

岩と岩の間に足をかけ身体を預けると、靴を通じて大地の温かみを感じることがあります。自然と一体感を感じられるひとときです。また、登攀の手掛かりとして岩や木に頼る時、自然界に助けられている気持ちにもなります。下りでは、登りよりも増して大地や自然と一体となることを心掛け、慎重に一歩一歩を進めます。体力の消耗とともに、足取りは段々と重くなりますが、麓に戻る頃には、いつの間にか心も身体もリフレッシュしていることに気づきます。この感覚は、街中でのジョギングではなかなか味わえないことでもあります。


      

人は自然界の中で、その一部として生き、周囲の環境の変化に影響されながら、健康という身体のバランスを維持しているのだと思います。自分に合った様々な方法で、時には自然と一体となる体験をしてみてはいかがでしょうか。新たな発見があるかもしれません。(KA)