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天津通信

【鍼灸マッサージ師】天津留学通信40 ~外国人研修生と毎日の楽しみ~

2015年06月10日

天津に留学して、今年で6年目。金崎さんからのメッセージです。
 

天津は5月から連日夏日の暑さが続いています。中国の病院や一部のホテル(外国人留学生の寮)は毎年6月1日前後に空調の冷房が解禁!?となる為5月中は、病院内の治療室では、小さな扇風機が作動しているのみでとにかく暑く、なおかつ患者さんは賑やかな、余計に暑く感じる毎日でした。先生も患者さんもこの期間は、「暑い!暑い!」が口癖でした。

☆外国人研修生☆
海外及び中国国内からの研修生の数は時期によって変わります。春節で学生が少ない時期(先生と私一人だけいう日)や最近のように多い時期(中国人医師3名、マレーシア人学生3名、その他2名)もあります。
研修生の殆どは一人の先生に、3、4週間サイクルで研修を行います。
研修を一緒にうけながら、治療室内での仕事も協力して行います。研修中に仕事を真面目にやってくれる人(主に刺針時間の記入や抜針を行う学生)もいれば、殆どやらない人もいます。
国別でみていて、何となく特徴があります。
あくまでも私個人の感想ですが、ベトナム人学生は要領が良く、サボる生徒が多い。
マレーシア、タイ人学生は比較的真面目、でもお互い話し出すと研修中ということを忘れて話続けている。
中国人医師は40歳以上の人(特に男性)は、比較的真面目でよく動いている。等々です。

研修スタイルにも違いがあります。
ドイツ、イタリア等の欧州の研修生は自分のペースで自由に研修をしている感じです。(他の患者さんの治療等について)何か気になったことがあれば、そこで立ち停まって話合ったりします。診療終了後の先生への質問も多いです。

日本の研修生は、先生の治療を真面目に見学しているのですが、先生への質問が他の外国人より少ない印象です。3月に来た鍼灸学生らも、担当の通訳の中国人学生や私には色々聞いてくるのですが、先生への質問が殆どなく、先生も寂しそうな感じでした。

中国人研修生は‘良い意味で貪欲で図々しい‘です。
基本的に遠先生の場合、刺針中であっても話しかけたり質問は大丈夫です。
日本人は、先生に質問する時のタイミングを図ってしまいます。しかし彼らはタイミングとか関係なく、いつでもどこからでも入っていける感じです。その為私が先に先生に質問していた内容でも、割って入ってきて話をもっていかれることもあります。通常の会話時もよくあることで、「クソ!人の話をとりやがって。」と思うことも多々あります。
一附病院では各先生によっても接し方は変わってくるかと思いますが、できるだけ積極的に動いて、先生に質問したりする方が良いと思います。その方が先生は喜び、色んなチャンス(患者さんへの刺針の機会や先生の貴重な経験談等を聞ける)を与えてくれることが多いと思います。

私自身唯一良かったなと思う点は、初日から毎日毎回、とにかく先生の一番近くで治療をみることを意識してやっていたことです。一番近くにいると質問されることもあり、答えれないことが何回もありました。気持ちが後ろに下がりかけたこともあったのですが、とにかく先生の最も近くにいて少しでも多く、患者さんに刺針する機会を与えてもらおうと思ってやってました。
最初の頃は先生も「毎回えらい近くに来て、うっとうしい日本人だな!」と多分思っていたのでは!?と思います。

☆毎日の楽しみ☆
私は一昨年から遠先生の治療室で研修を受けています。先生の患者さんは脳血管障害や顔面神経麻痺等の神経系の疾患を中心に呼吸器系や消化器系の疾患、そして日本の鍼灸院で多い頚椎、腰椎症等の運動器系疾患も多いです。最近の暑い時期は患者さんが多く、1日100名以上が来られることもあります。
脳血管障害の患者さんの殆どに醒脳開竅法をやっております。遠先生の場合、上肢に対して下極泉穴(極泉穴の下1寸から2寸の間)に刺針を、下肢に対しては委中穴に、側臥位の時は代わりに環跳穴に刺針を行い、1回跳動させています。



今年の2月くらいまでは先生が刺針中に「(この患者さんの)委中」、「環跳」というように時々刺針部位を指示され、先生の前で刺針していました。
それが3月くらいから、醒脳開竅法が必要な殆どの患者さん(毎日約15名~20名の患者さん)への刺針を私がやらせてもらっています。
毎日患者さんがベッドに入ると、すぐに醒脳開竅法が必要な方を確認し、患者さんの準備が整うと素早く刺針します。
できるだけ痛みを生じさせないように慎重に素早くやってますが、慢性期の方や跳動しにくい患者さんもおられます。当日うまくいかない場合患者さんによっては、「もうすぐ先生くるので、後で再度先生が刺針します。」と無理をしないようにしています。中には当日跳動できず、次からは刺針させてくれない場合もあるので、自分から患者さんが逃げていかないようにと、1穴1穴が勝負です。
患者さんの肢位に注意しながら、できるだけリラックスさせ、そして正しい取穴部位への刺入と操作が必要となります。現在は委中穴に関しては殆ど問題なく自信を持ってできています。下極泉穴は一部の患者さんにはスムーズに跳動させることができず、もう少しという感じです。そして環跳穴はちょっと成績が安定していない感じです。
環跳穴の刺針においては、先生から特に「患者さんの下肢の肢位を注意しなさい。」と言われています。
患側下肢の股関節を最大屈曲位及び膝関節90度に保ち、健側下肢は伸展位を保ちます。そして刺入します。時には膝関節まではひびいているが、足の指先までひびかないという場合があります。代わって先生が提挿するとうまくひびきます。最近思うのは、正しい取穴は当然重要なのですが、多少取穴部位がずれていても、手技でうまくカバーできるのだなという点です。先生は「はじめに提挿して上手くいかないときは、一度戻して針先の方向を変えて行いなさい。」と言います。
楽しみながら、緊張感を持っての鍛錬の日々です。

昨年くらいから自分の名前を患者さんに徐々に覚えてもらえ、良い感じで接遇もできており、少しづつ信頼を得てきたように思います。留針中患者さんから自分の名前を呼ばれることも多くなり、色々なリクエストも増えてきています。以前は日本人留学生ということで嫌な思いもしたことがありました。患者さんから「日本の首相がどうしたこうした、、、政治がどうたらこうたら、、、」と聞きたくない、答えたくない内容を言ってくる患者さんもいましたが、今は殆どなくなりました。
最近は色々な患者さんから「いつ帰国するの?日本に帰らずに天津にずっといなよ。」と言われます。嬉しい半面ちょっと寂しい気持ちになっています。



写真は春節(旧正月)に天津テレビ局の番組で放送された、「外国人が春節に餃子作りを体験」に参加した時のものです。
天津のテレビ番組は同じ内容を時期をあけて再放送することが多いようです。
先日患者さんから「テレビに出ていたよ!」と新患の患者さんから言われました。この番組で天津テレビ3回目の出演となりました。外国なので恥ずかしがらずに、興味本位で出演させてもらってました。
遠先生は冗談でよく言います。「天津では明星(スター)ですね!3回もテレビに出てますからね。」と色々な機会を与えてくれた先生に感謝です。
 

質問のタイミングを図ってしまうというのも、「察する文化」のある日本人ならではの長所であり、短所ですね。
金崎さんの出演した番組、ぜひ見てみたいですね!次回のメッセージも楽しみにしています。