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【東洋ブログ 大希のつぶやき】中医鍼灸 眼精疲労
2025年12月10日授業の様子
中医学といえば東京衛生学園、東京衛生学園といえば中医学。そんな東京衛生学園の中医学教育を長年に渡って支え、そして発展し続けてくださっているのが講師の河原保裕(かわはら やすひろ)先生の「中医鍼灸実技」の授業。今回は「眼精疲労」の実技の様子です。
目の症状といえば、本校の卒業生や2・3年生ならお馴染みの「肝」に関わる病証になりますので、「肝血虚」や「肝腎陰虚」などが思い浮かぶと思います。その上で、局所選穴も使用していきます。

眉毛の内側の「攅竹(さんちく)」と、こめかみのところの「太陽(たいよう)」に刺鍼しています。

さて、今回の眼精疲労の鍼灸治療は、日本ではあまり知られてない「くるみ灸」という灸法を紹介してくださいました。中国ではとても有名な灸法です。
写真:くるみ灸の説明をする河原保裕先生

くるみ灸について、いつものように鍼灸大好き高橋が少しだけ解説しましょう。
くるみ灸は、「くるみの殻」に「菊の花(菊花:きっか))のエキスを含ませてたものを目の上に置き、その上からお灸をするいわゆる「隔物灸(かくぶつきゅう)」になります。

もともと「くるみの殻」を用いた灸法は、清代(公元1760年)に顧世澄によって著された『瘍醫大全』が初出のようです。本書の「艾灸門主方」の「桃殻灸法」のところには、「大きなクルミ(核桃)を割って開き、中身の肉を取り除き、殻の背中に一つの穴を開ける。内側を鶏の糞(鶏屎)で満たし、糞がある面を毒(できもの)の頂上に乗せて、穴の外側から艾で灸をする。壮数は問わず、ただ患者が楽になることを最優先とし、殻が熱くなったら別の殻に交換する。この方法で灸をすれば、そのできものは直ちに治る。まことに不思議な処方である。」というようなことが書いてあります。

もともとは、『畢繹承集』という書物に記載があったようですが、調べてみたけど分かりませんでした。
このように、本来は「瘍(よう:できもの)」の治療、つまり外科的な治療に用いられていたようですが、いつからか、目の治療用に工夫されたようです。「くるみの殻」はおそらくただの隔物で、大事なのは「菊花」のエキスと思われます。

「菊花」は漢方薬に用いられ、目を健やかにする「明目」作用、つまり肝の熱を取って目を回復する作用があります。その為、目の充血、 目のかすみ、 視力減退、 ものもらい、などに効果があります。
写真:「菊花」漬けのくるみの殻。

写真:「菊花」漬けのくるみの殻を、河原保裕先生が直接配っていました。

このあと、皆でお互いに「くるみ灸」をおこないました。

「くるみ灸」の名前を聞いたことがある人でも、実際に見たり体験する機会はなかなか無いと思います。「中医鍼灸」の実技は当然「中医学」に基づいて展開されていきますが、今回のような「菊花」の漢方薬としての効果も同時に学べるのは、鍼灸と漢方薬の使用が資格的に分かれている日本鍼灸にはない、中医鍼灸の魅力の一つだと思います。そして、「中医学といえば東京衛生」という他校にはない魅力ですね。
ってことで、河原保裕先生シリーズ、次回をお楽しみにー。










