東洋医療総合学科Blog

取穴

2013年11月05日授業の様子

取穴(しゅけつ)。穴(ツボ)を取る(皮膚に触れて場所を確認する)行為の事です。
 
取穴は、しやすい部位としにくい部位があります。例えば自分で自分の足は取穴しやすいですが、背中は取穴しにくいですよね。取穴じゃなくたって、ちょっと触ろうとか掻こうとか思っても同じだよね。
 
そうすると、普段から見れるツボと見にくいツボ、触れるツボと触りにくいツボでは、おのずと取穴の回数や精度が違ってきます。学生さんは手や足のツボに比べて、頭や背中のツボは取穴が苦手。では、どうすればいいのか。
 
簡単。触る(取穴)時間を多く設ければいいのです。
 
取穴をする際は、体の骨や筋肉、腱を触りって目印にします。これは体のどこの部位でも同じ。背中のツボは背骨(椎骨)をまずは基準に行います。人間の首の骨は7つ。これはキリンも同じ。そして背骨は胸の部分(胸椎)と腰の部分(腰椎)に分類され、合計で17あります。この17の骨の何番目を基準に、その側の筋肉の一番太いところ…って感じでツボの位置は正確に決まっています。ですので、まずは17の骨がすぐに触れること、確認できること。そうじゃないと取穴もできません。でも、人は皆同じ体格ではないですよね、身長も違うし、筋肉や脂肪の付き方も違います。
 
だから、いろんな体格の人をひたすら触ってその違いを頭と体で覚えます。どちらか片方だけではダメです。頭でわかっていても実際に触った経験が少ないと取穴できませんし、指先が器用でも体の構造を頭(知識)でわかってないとダメ。その為には頭で理解した上でひたすら反復練習あるのみ。
 
ここで東京衛生学園専門学校の取穴練習法を紹介しましょう。授業科目は私が担当している2年生の『経絡経穴概論Ⅱ』と『臨床経穴学』という授業です。
 
写真:この10穴を取穴します。全て背中のツボ。
 
クラスの人数は約30人。まずは半分の人が横になります。つまりモデル役ね。15人が寝る。そして15人が取穴する。
 
①まずは、背中のツボを基準となる背骨の上(体の真ん中)のツボを5穴とその横のツボを5穴取ります。横のツボは左右ありますが、わざと片方だけ。例えは左だけ。だから10穴。取穴したらシールを貼っていきます。うちでは『取穴シール』って呼んでます。
②10穴を速やかに取穴し、一人ずつ私がチェックしていきます!だから15人チェックするのよ(-_-;)。すると、これが正解になり、見本になります。
③私のチェックが済んだら、背骨に貼った取穴シール(5穴)だけを剥がします。そうすると、背骨の横、ここでは左の5穴だけシールが残ります。そして左の5穴には手ぬぐいをかぶせて見えなくします。ここで終了。取穴する人は違う人(隣)のベッドに移動します。
④そうすると取穴してあるツボ(私のチェック済の)は手ぬぐいで隠れていますね。そこで、今度は手ぬぐいで隠れていない右側にシールを貼って、貼り終えたら手ぬぐいで隠れている左側(私のチェック済の正解)と同じかどうか確認します!
で、また隣に移動!と繰り返していきます。5穴の取穴時間は50秒。クラスの半分である15人を次々移動しながら取穴していく。というシステムです。1周したら寝ている人(モデル)と交代。こうやって徹底的に取穴を練習していくのです。
 
写真:私の取穴スタートの合図とともに、室内はシーンとなります。で、確認の時はガヤガヤ(笑)。はっきりしてます(笑)
 
うちの学生さんは、他校の学生さんい比べて鍼を刺したり灸をしたりするのが上手。でもそれは、教育内容や先生の指導内容だけでなく、みんな必死で練習するから。イチロー選手があれだけの偉業を達成した影で、どれだけバッドを振ってきたか…。鍼灸って、『医』だから理系のイメージがあるけど、古典読んだりして文系の知識も必要で、でも、ある部分で体育会系のノリや根性も必要なんですよ。テレビに出てくる外科なんかのスーパードクターって、国内外を飛び回り何時間も手術してって体力あるでしょ。鍼灸師もいっしょ。もともと古代中国では漢方は内科、鍼灸は外科なイメージだからね。
 
写真:キョウコ。カメラむけられ顔がニヤリ(笑)。キョウコだってぱっと見は今時の20歳の女性です。普段はキャッキャしてるし(笑)。でも、実技をやらせると、やっぱりうちの学生です!
 
写真:シマが取穴中。後ろにキョウコが見えるでしょ。取穴と確認がすんだら、キョウコは今シマが取穴している場所に移動していく、というわけです。