東洋医療総合学科Blog

鍼を刺す

2013年12月06日授業の様子

3年生の実技試験を行いました。鍼の。
 
内容は、寸6の2番の銀鍼(長さ5㎝の太さ0.18㎜の銀製の鍼)を、相手の膝下に1分以内に1本、連続2本(2分以内)刺す試験です。鍼の刺す場合には深さと角度を考慮するのですが、この試験ではまず刺せる(深さ)が大事、そして角度の確認となります。
 
写真:試験の組み合わせ。当日私がくじ引きして相手を決めます。それと、話が変りますが、私は藤子・F・不二雄先生作品のキャラクターで、コロ助が一番好きです。
 
中国から伝わってきた鍼治療。中国のお偉いさんのお墓から出没品に鍼があったのですが、金製でした。日本でも金、銀、鉄などの素材で鍼が作られてきました。中国の鍼と比べて日本の鍼は細いです。痛くない鍼を作る工夫をしてきた鍼職人技術と素材の関係から、細くても強くしなやかな鍼は金や銀が多く用いられてきました。1978年からステンレス製の使い捨て鍼が作られるようになり、今では鍼と言えばステンレス製が一般的です。
 
ステンレス製の鍼は硬いので、深く刺すことだけを考えると刺し易いです。でも、銀製の鍼には独特の刺され感があり、ステンレス製の鍼を刺されたのでは出ない味があります。また、近年は治療方法の工夫もあり、銀製の鍼を使用する治療家で、深く刺す方は少なくなりました。
 
銀製の鍼を深く刺す為には技術が必要なんです。また、その技術がある人がステンレス製の鍼を使用するのと、銀製の鍼を深くさす技術がない人が、刺し易いステンレス製の鍼に頼るのでは、治療効果も大きく違ってきます。
 
鍼なんて刺さればいっしょ。そう考える人もいるでしょう。
では、あなたは普段食事についてどう考えていますか。
食事なんてお腹が膨れればいっしょ。
味、食材、食器、雰囲気、誰とだべるか…。
そして、身体を作る材料として、健康の爲に…生きる爲に…。
 
いっしょじゃないんです。あなたの経験では、まだ知らないだけ。わからないだけ。
 
この試験、同じ内容で1年生の頃から実施しています。学年があがること、難易度が増していきます。でも、基本はいっしょ。学年があがるほど、基本を忘れ、姿勢が崩れ、力で強引に鍼を刺そうとしていきます。焦れば焦るほど鍼は入っていかない。
 
卒業まで、残り数か月。私が技術を教えれる最後の機会がこの試験です。今一度基本に帰り、初心を確認して下さい。
 
ちなみに、この銀鍼の試験は、今年の3年生が最後の学年となります。
 
鍼灸師 高橋大希