東洋医療総合学科Blog
臨床経穴学
2013年12月09日お薦め図書の紹介
このブログを始めた当初、私がこれまで読んできた『お薦め図書の紹介』をしていこうと思っていた。カテゴリーも作って1冊(2冊)紹介したっきりでストップしていた。いざ紹介の文章をを書こうと思うと難しいもので、少し躊躇していたところもある。何冊かの本の下書きがあるのだが、いよいよこの企画を始動しようと思う。
もともと、私自身は本を読むのが好きではない(いや、なかった)。
私の父は本が好きな人で、様々なジャンルの本を読んでいた。『また本を買ってきて』とよく母に怒られている場面が鮮明に記憶に残っている。そんな私が本を読むようになったのは、二人の鍼灸師の影響が強い。名前を勝手に出すのもなんななので、わかる人だけのキーワードで紹介すると(笑)、1人は本校の卒業生で大先輩でもあり、出版社の代表も務め、ご自身も鍼灸に関する本も書かれいる武術の達人でもあるY先生。もう一人は、この業界で古典ハンターの異名で呼ばれるN先生。お二人の本に対する姿勢や考え方、思いなどをを聞かせて頂きことが何度かありましたが、鍼灸師が本を読むということがいかに重要かをとても考えさせられました。まー、この詳しい話はまたの機会にでも。
で、今回紹介する本は『臨床経穴学』です!
臨床経穴学(りんしょうけいけつがく):原本『常用穴臨床発揮』
著者:李 世珍
訳者:兵頭 明
出版社:東洋学術出版社
定価:10,080円
著者である李 世珍先生は代々続く中医師の家系の4代目。本書はその4代100余年の家伝である鍼灸実践経験を世に伝えるために著されたものと、前言にあります。初版は3800部しか刷られておらず、入手が困難の中ゲットして日本に持ってきたと翻訳者の兵頭先生が教えてくれました。
写真:実際に先生が入手して、翻訳に使用した『常用穴臨床発揮』が中央。左は『臨床経穴学』発売当時の表紙。色は薄くなっていますが、ピンクです!アーリン(笑)。右は現在の表紙。
写真:先生の『常用穴臨床発揮』を見てみるとこんな感じ。ボロボロです。セロテープで補修しながら使用していた様子がわかります。
写真:間違いを見つけて赤字で直している。兵頭先生の字だよ!心兪→胃兪に。
当時のことをお話し頂きながら、写真も撮らせて頂きました。兵頭先生お忙しいところご協力ありがとうございます。
東京衛生学園専門学校の職員になり、中国研修旅行の引率を兵頭先生とやらせて頂いて、現地でいろんな本を紹介して頂き、中国語で書かれた鍼灸関係の本の選び方なんてのも教えて頂いたりと、やはり、中医学に関することにはずば抜けてお世話になりっぱなしです。そんな先生が訳者あとがきの最後をこのように締めくくっています。『多くの鍼灸臨床家が本書を座右の書として活用し、臨床に励まれんことを希望してやまない』と。先生の翻訳のお蔭で、どんだけの人が救われているか。
写真:兵頭先生。『常用穴臨床発揮』を手に。
今後、以下のような★を5段階で好き勝手に評価していこうと思います。あくまで高橋大希個人の評価ですので、評価感想には個人差があるでしょう。
常備:★★★★★ 座右の書として兵頭先生が薦めるくらいですから。
読解:★★★☆☆ すらすら前から読んでいく類の本ではないです。読み方にコツあり。
内容:★★★★★ この内容がこの値段で手に入る奇跡。東洋学術出版社さんありがとう。
価格:★★★★☆ 学生さんには少し手がだしにくいかな?でもこの内容だからねー。
満足:★★★★★ 中医学を勉強している人は当然、そうでない方にも役に立ちます。