東洋医療総合学科Blog

亀屋左京商店

2013年07月24日授業の様子

東洋医療総合学科の授業が新カリキュラムになっていることは、何度もころブログでも言っています。そんな今年初の授業が艾(モグサ:お灸の原料)のプロに話を聞く!です。
 
お忙しいところ、普段からお世話になっている亀屋佐京商店の松浦達修さんに来て頂きましたー!亀屋佐京商店さんは、創業寛文元年(1661年)から、もぐさの商い一筋に、三百五十二年の艾専門店です。三百って…すごい歴史ですよね。
 
写真:講演中の松浦さん。関西弁で流暢にお話しして下さいます。講演後に学生さんから聞いたのですが、『講演聞きながら他の勉強をしようと思っていたんですが、話が面白すぎて勉強できなかった』と(笑)。営業で話慣れているので…と謙遜されていましたが、正直、そのへんの鍼灸学校の先生なんかより話上手で教え上手です!
 
写真:スライドに注目。『美味しいワインを作るためには何が必要か?』みなさんわかりますか?考えた人は『良い艾を作るには何が必要か?』も考えてみましょう。答えはブログの最後で!
 
写真:講演内容は、艾の作り方はもちろん、それ以前のヨモギ(草もちにも使用される、艾の原料。艾はこの葉っぱの裏にある毛を集めたものになります)について、そしてお灸全般の話から、亀屋佐京商店さんの歴史にまで。
 
そうそう、亀屋佐京商店さんの艾の商品名に『広重』っていうのがあって、以前から名前の由来が気になっていたのですが、この『広重』は、浮世絵師で有名な歌川広重の名前の広重でした!歌川広重と言えば『東海道五十三次』(こちらは錦絵)ですが、中山道六十九次(江戸時代に栄えた五街道の一つである中山道に設けられた、69を数える宿場の総称)を描いた『木曽街道六十九次』の60か所目『柏原宿』に、なんと亀屋佐京商店のお店が描かれています!亀屋佐京商店さんには大きな福助人形があるのですが、それが超リアルに!!いやー感動ものです。
 
★『柏原宿』に描かれた亀屋佐京商店さんが見たい方は、ウィキペディアでご確認下さい。
『柏原宿 - Wikipedia』で検索すると見れまーす。
 
写真:私の個人的な予想では、『へーっ』って感じでみんな話を聞くのかなーと思っていましたが、そんなもんじゃなくて、かなり真剣に聞いてました。みんなすごいメモ取ってます。
 
下の写真の艾は、亀屋佐京商店さんに特別にお願いしている、本校の卒業記念艾!卒業記念艾とは、1年生が4学に入学してきますが、その年すぐに採取した艾で手間暇かけて作って頂いている特製艾です。特別に確保して頂いた艾を入学後に購入して、なんと亀屋佐京商店さんの白壁の土蔵で卒業まで保管。そして3年生の国家試験が終わった後に、学校に届けてもらっています。桐の箱に入れて。値段は秘密ですが、今回のお話でも正直儲けなし…と言ってました(笑)、でも、卒業してこの艾を手にして、プロになって開業して初めて患者さんに使用したりしたら、もう…。たまに、そんな卒業生からお手紙をもらうそうですが、とても嬉しいとおっしゃってました。
 
写真:卒業記念艾桐箱入り
 
東京衛生学園専門学校では、いろんな種類の鍼と灸を使います。世界的に有名なディスポ鍼(単回使用毫鍼)のメーカさんの鍼から、手作り鍼のメーカーさんのものまで、そして現在、散り艾に関しては、亀屋佐京商店のものと、もう1社のものを。どれも、我々教員や非常勤講師の先生がこだわって普段の臨床で使用している最高の物です。腕を磨くには良い道具で。最高の治療は最高の道具で。これが基本だと思っています。でも、毎日のように当たり前に使用していると、その道具がどのようにして作られたのか、どれだけ手間暇かかっているのか、ついつい忘れがちです。松浦さんの話を久しぶりに聞いて、私も改めで道具の大切さを認識しました。学生のみんなも、手に取って使うとき、一時でいいので、作ってくれた方々の事を思って、大事に使用して下さい。
 
松浦さん、お忙しい中、貴重なお話本当にありがとうございました。
 
 
★亀屋佐京商店さんの艾をお求めの方はHPをご覧ください。亀屋佐京商店HP
 
スライドの質問の答え、『ワインは~』はもちろん葡萄です。ってことで、『艾は~』だったら当然、ヨモギってことになるというお話です。