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【東洋ブログ 大希のつぶやき】鍼灸って素晴らしい
2025年11月10日授業の様子
今年も村上裕彦先生が3年生の鍼灸実技の授業のお手伝いに来てくださいました。
さて、卒業生にはお馴染みの「やっててよかった長野式」。本ブログを見てくれている他校の学生さんや鍼灸師さんの為に少しだけ村上裕彦先生と先生の鍼灸臨床スタイルである長野式治療法そしてKiiko Styleについて解説しましょう。
写真:村上裕彦先生を背中からパシャリ。青いTシャツに「鍼灸って素晴らしい」の文字が。

長野式治療法は、大分で臨床されていた故長野潔先生が、東洋医学と西洋医学の融合を試みて体系立てられた鍼灸治療法です。手首の「脈」で診察する「脈診」の名人といわれた長野潔先生。自身の臨床経験を鍼灸雑誌で長年報告してきたそうですが、当時は全然注目されなかったようです。
写真:腹診の説明中の村上裕彦先生

時は流れ、アメリカのボストンから松本岐子先生が長野潔先生の門を叩きます。日本人鍼灸師としてボストンで臨床されていた松本岐子先生は師匠に飢えていたそうです。そしてある時、鍼灸雑誌で長野潔先生の論文を読み、この人こそ私の生涯の師匠だと思ったそうです。長野潔先生の臨床を見た松本岐子先生は、目の前で患者さんの症状が消えていくのを見て感激したそうです。そして、感激と同時に長野潔先生のようになりたいと思ったそうです。
写真:腹診の説明中の村上裕彦先生

しかし、ここで問題が生じます。長野潔先生の診察法である「脈診」を会得するのが一筋縄ではいかない。そこで、松本岐子先生は自身が得意とする「腹診」で、長野潔先生の「脈診」と同じ診察ができるように置き換えていきました。「腹診」は読んで字のごとくお腹の診察ですが、主に触って痛みのあるところを確認します。治療者はもちろん、患者さんも分かりやすい。こうして、長野潔先生の素晴らしい鍼灸治療法を誰でもできるような治療法として発展させたのが松本岐子先生、そしてKiiko Styleです。私、このエピソード大好き。長野潔先生の埋もれていた才能を「遅咲きの天才」と表現するなら、松本岐子先生は「慧眼の天才」ではないでしょうか。

さて、そんな松本岐子先生と鍼灸学校時代の同級生で、松本岐子先生に誘われて長野潔先生を知り、先生の著書の校正にも関わったのが村上裕彦先生です。長野潔先生の名前を世界に広めたのが松本岐子先生なら、国内に広めたのは村上裕彦先生でしょう。村上裕彦先生は、「長野式研究会&w-key net」という研究会をやられおります。「w-key」は、長野潔先生のお名前のキヨシの‘ki’、松本岐子先生のお名前のキイコの‘ki’を併せ、‘key=鍵’にかけて‘wkey’。つまり‘W’=ダブル=二つの‘key’、長野潔先生と松本岐子先生を表しているそうです。

村上裕彦先生が長野潔先生の長野式治療法と松本岐子先生のKiiko Styleを国内に広めることができたのは、先生の「お人柄」があってだと私は感じております。いまからもう20年以上になりますが、埼玉で開業している村上裕彦先生を仲間の鍼灸師に紹介してもらい、先生にご挨拶にいきました。そして、是非、東京衛生学園で学生の鍼灸実技指導を手伝って欲しいとお伝えしたところ、快く引き受けてくださいました。開業鍼灸師の先生方で、鍼灸学校で講師をしたことがある方なら1回授業を担当すると講師料がどのくらいか見当がつくと思います。自宅との往復の時間や身体への負担を考えると120%、治療院にいたほうがいいです(笑)。講師料ってそんな感じです。しかも、治療院を休むことになって困るのは先生よりも患者さんです。それでも、東京衛生学園には村上裕彦先生のように授業のお手伝いに来て下さる先生方が大勢います。業界の後進の為に。東京衛生学園の為に。そして、そんな村上裕彦先生を慕っているのが、本校の卒業生の石井弦先生です。毎年村上裕彦先生といっしょに手伝ってくれます。

長野潔先生に憧れた松本岐子先生と村上裕彦先生。そして、村上裕彦先生に憧れる石井弦先生。ある有名な鍼灸師の先生のお言葉に「患者さんは人(治療者)につく」というのがあります。例えば、みなさんが病院にいってお医者さんに診てもらったり、看護師さんに注射を受けたり、放射線技師さんにレントゲンを撮ってもらう時に、あのお医者さんに、あの看護師さんに、あの放射線技師さんにって思って診てもらうことはないと思います。でも、鍼灸ってあの先生に診てもらいたいってなるんです。これって特別な人と人との関係性だと私は思うんです。で、鍼灸師になる時にも「あの先生のようなりたい」って思うんですよね。これって、ミュージシャンなんかもそうです。あの人のようなギターをひきたいって感じで。鍼灸って、治療も学びも「憧れ」が関係していると思うんです。

さて、久しぶりに長い内容になってしまいましたが、村上裕彦先生の授業は始まったばかりですので、追ってブログで紹介させていただきます。あと弦の…じゃなかった石井弦先生の思い出写真もアップしようと思います(笑)。鍼灸って何を学ぶかも大事ですが、誰から学ぶかはもっと大事なんですよ。それが東京衛生学園スタイルなんです。










