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天津通信

【鍼灸マッサージ師】天津留学通信70 ~さまざまな治療法について~

2018年04月04日

<3月の天津の様子>
 天津も3月に入り気温が一気に上がりました。月の終わりには30度に達するなど、冬から夏という、春の息吹なんて言葉はどこに行ったのかという感じです。それに伴い天津大学の梅の花や桃の花も一斉に開花し、最後の季節を迎えたのかと思うと…果たして暖かくなったせいなのか、はたまた天津に対して一種の思い入れが生まれたのか。ある意味では春の訪れなのかもしれません。

<病院実習>
 なんと今月、付梅先生が体調を崩されてしまった為に毎日通っていた付先生の外来をお休みし南病院の外来とは別の外来へ行くことに。ここC棟にある別室、新「付」先生の下へ。付先生でもこちらは付玲先生です。

 以前の留学通信でも書かせて頂きましたが、この天津中医薬大学の醒脳開竅法という治療法は簡単に言うと西洋医学的な◯◯治療等と同等の、いわば標準的且つ確立された治療法であるがために、仮に言うなれば昨日はここの先生の外来で学びました。今日はここの外来で学びました。治療法が全く違うので奇想天外です。なーんて事は一切存在しません。じゃあどこで学んでも同じじゃないか!というワケでも無いのです。そこが中医学でも面白い部分で、同病異治であり、この「異治」の意味するところ、単なる弁証によって同じ病でも処方や配穴が違うという事ではなく、中医基礎理論+醒脳開竅法+その先生独自の治療経験に基づいた理論を加える、この最後の部分が独特という意味であり、基本的な理論の差異は無いものの、経験則で配穴や処方を加えたり減らしたりするのは先生独自であり、これこそ沢山の先生の外来を見るべき価値のあるものだと私は考えております。

例えば付梅先生の外来に居た際に顔面神経麻痺の患者さんに対する治療として浅刺と深刺の差を教えて頂きましたが、こちら付玲先生の外来では少しばかりこの治療方法が異なるのです。付梅先生の外来では顔面神経麻痺には基本的に浅刺と聞かされていましたが、こちらでは…。はて何故にしてこの差はあるのだろうと。

 話変わって、この3月中に沢山の研修団が天津にやってまいりました。その中には日本人の研修団もいらっしゃいました。翻訳のお手伝いをさせて頂いたのですが、その際に翻訳と称して普段聞けない事を研修先の先生に聞いてみました。「先生は日本の中医学は知っていますか?日本の中医学と天津の中医学には差があり、日本では日本式中医学的治療法として確立されており、鍼灸師は中医薬を取り扱う事ができない。この事について先生はどう考えますか?」と。

この質問をした私としては、日式の治療法と中医学の伝統的な治療法は違うからこそ意味があると思っていて、日本の良さと伝統医学の良さが混ざり合っているのが日本の中医学であると考えており、それも踏まえ中国の、且つ鍼灸に特に力を注いでいるこの天津中医薬大学付属病院の第一線で働いている先生に“あえて”質問を投げかけてみたのです。すると先生から、「あなたは知ってるか分からないけれども、中国の中医学も分からない事だらけだよ。何故か?治療法が違うのに何故効果が上がるのか、あなたは疑問に思わないかい?私自身も分からない事だらけだよ。でも異病同治や同病異治という言葉があるならば、それも納得出来る事だと思う」と、期待していた答えが返ってきました。

顔面神経麻痺の治療で方法が違うのになぜ同等の治療効果が上がるのか?ただ単に同病異治なのか、いや、それでも私は納得できません。更に追求していくのが中医学の面白さでもあるからです。残り少なくなってきました実習ですが、常に頭にはクエスチョンマークを付けて張り切っていきたいと思います。因みにこちらは付玲先生との写真になります。
 
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 天津の草野球リーグも開幕し、天津の河の氷もすっかり溶け、この留学通信ももう残すところ僅かになりました。張り切っていきたいと思います。

田中悠理