東洋医療総合学科Blog

【鍼灸ブログ 大希のつぶやき】 亀屋佐京商店

2016年03月02日授業の様子

日本の歴史を紐解くと、安土桃山時代の慶長5年(1600年)に美濃国(今の岐阜県)不破郡の関ヶ原で行われたのが、かの有名な「関ヶ原の合戦」。そんな地に隣接する滋賀県の伊吹山のヨモギを原料とした伊吹艾(いぶきもぐさ)は歴史的にも超有名です。


そんな伊吹山の麓米原市にて、創業が寛文元年(1661年)のもぐさ屋さんがあります。
亀屋佐京商店さんです。艾(モグサ)一筋300年以上ですよ。たまげるとしか言いようがないです。そんな亀屋さんの松浦達修さんに今年も1年生の授業のお手伝いに来て頂きました。もぐさの作り方っていうのは国家試験にも出題されるので、授業でもお話するんですが、やはり「餅は餅屋」ですよ。


松浦さんの艾の話はとにかく面白い。上手い!
専門家の方って、講義をして頂くとどんなに内容が良くても、難しくて少し窮屈な感じになってしまうのですが、松浦さんは違います!学生さんを指名しながら(当てながら)、いじりながら(笑)、学生さんはあっという間に話に引き込まれていきます。


松浦さんに教わった通りにヨモギから艾を作っていきます。このヨモギは入学した少し後に、玉川の河川敷で皆で摘んできたもの。春から大事に乾燥させて本日持ってきたんです。
※ヨモギ摘みの様子は過去のブログをチェック!→【東洋ブログ 大希のつぶやき】 ヨモギ取り


早くもフクオカ君が高速ですりこぎ棒を回転させています(笑)


しかし、艾作りに大事なのはヨモギの葉をしっかり茎と分別することなんですねー。ここは女子4人で丁寧に分けております。


やってますやってます。


ここのグループだけ特別に松浦さんの指導の下、最高の艾を作ります!


艾はヨモギからつくられて、その精製度に応じて使い道が違います。ヨモギに近い状態だと緑色っぽくて、止血なんかにも使えます。少し精製すると無痕灸というわれる方法に用いられます。無痕灸(隔物灸もその一つ)の様子は昨日のブログを見てみよう!そしてそして最高に精製された艾はキレイな小金色をした最高灸の艾になります。現在ではこの最高級の艾をお米粒の大きさにして、微妙な火加減で行われるのがプロのお灸、透熱灸(とうねつきゅう)となるのです!


どちらも最高級の精製された艾。しかし、その年に取った艾で製造された艾と、数年蔵で寝かせていた艾では下の写真のように色が違います。そして右側の小金色の艾こそが最高に使いやすい艾になるんです!なんと本校では亀屋さんにお願いして、学生さんが入学した年の艾を卒業するときに購入する、なんてこともやっております!


そんな亀屋さんの艾には「無類七年晒」(晒:さらし。使わないで保管していた、寝かせていたの意味)の印が!


写真だけ見ると、艾の作り方を教わって体験していると思いますよね。でも違うんです。
艾屋さんが、どんな思いで艾を作っているのか。
艾作りに、どんな苦労や技術、そして伝統があるのか。
そんなところも学生さんには知って欲しいのです。
鍼灸という伝統技術は、道具を作ってくれる人がいるから成り立っているんです。
日本一のお灸学校としては、技術だけではなく、道具にもこだわり、そんなところも知って欲しいのです。

1年生は春休みのお灸の宿題は、たった40枚(4000壮)でしたね(笑)。今までと違う気持ちでお灸を手にして頂きたい。

松浦さん、お忙しいところ本当にありがとうございました。