東洋医療総合学科Blog

鍼狂人

2013年12月22日イベント

鍼狂人と呼ばれている鍼灸師がいます。
 
(一社)北辰会(ほくしんかい)代表理事の藤本蓮風(ふじもと れんぷう)先生です。
半世紀に及ぶ臨床で70万人に以上もの患者さんの治療にあたってきた、鍼灸師ならば知らない人はいない先生です。
 
そんな先生が代表を務める北辰会という鍼灸団体(鍼灸にはいろいろな考え方や治療法がありますが、北辰会は緻密な理論と体の診察をして1~2本という少ない鍼で治療をする会です)があります。
 
 
北辰会の関東支部が設立時の1996年に東京衛生学園専門学校を会場に藤本先生の代表講演が行われたことから、15周年を迎えた2011年にも東京衛生学園専門学校で特別講演会が開催され、それから毎年、東京衛生学園専門学校の東洋医療系の同窓会である掌友会(しょうゆうかい)が協賛という形で年末に特別講演会を開催しています。そんな藤本先生の特別講演会が3年目となる今年も開催されました!
 
私も業界の大先輩として、超尊敬していますし、1人の治療家としても憧れております。もちろん先生の著書&関連書籍も、手に入るものはほとんど持っており愛読しております。毎年、学校関係者であることを理由に参加させて頂いておりますが、今年も大変勉強になりました。本当にありがたい機会です。
 
写真:今年の特別講演会のポスター
 
さて、今年の特別講演会の内容は、午前中に基礎理論とし北辰会関東支部長の尾崎先生による経穴解説、臨床応用として本校の臨床教育専攻科の卒業生でもあり北辰会関東支部の講師を務める竹下先生の奇経の講演が行われました。
 
そして午後からは藤本先生が治療された患者さんの臨床報告を解説していただき、実際に会場にいる参加者を治療するという形式でした。
 
写真:満員の会場。本校のAVホールにて。ちなみに入りきれないので、ビデオ上映の別会場もあります。
 
講演内容は、上の写真のスライドにもある『舌診を中心とした弁証論治による非結核性抗酸菌症の一症例』でした。鍼灸治療による難病克服を掲げる北辰会。この非結核性抗酸菌症という病気も治療の難しい病気で、現在、殺菌をする爲の完全な薬が存在しません。慢性的な咳や痰があり、微熱も出ます。痰には血が混じることも。レントゲンでは肺に空洞が現れたり…。そんな病気を鍼灸で治療する、鍼灸というものができる無限の可能性を、藤本先生はスライドを使用して解説して下さいました。
 
※藤本蓮風先生の非結核性抗酸菌症の症例について、詳しく知りたい方、勉強したい学生さんは、『東洋医学 鍼灸ジャーナル vol.7 2009年3月号』をご覧下さい。
 
写真:講演中の藤本蓮風先生。
 
講演の後は臨床公開を!特別に声をかけて頂いた我々は、学科長補佐の波田先生が患者モデルに。目の症状があった波田先生。物が二重に見えるそうですが…。
 
写真:体表観察中の藤本先生。背中のツボの反応を確認しているのだと思います。
 
写真:右手の『後溪』穴に1鍼。なんとそれだけ!
 
物が二重に見えるような大変な症状が、その場で治った!なんて奇跡は起きませんが、治療後の波田先生によると目の周り(頭など)がスッキリして、近くの物は良く見えるようになったと体の変化を実感!藤本先生曰く、東洋医学の『肝(かん)』に問題があり、頭に熱があるとの診察結果を説明して下さいました。そして、治療を続ければ大丈夫とのお墨付も!
 
よく、鍼灸治療を受けて1回で治った!って話を耳にします。確かに症状によっては、1回の治療で改善することも経験できます。それこそ、藤本先生の臨床報告などを見ていると、奇跡と思ってしまうような症例もあります。でも、実際に先生の話を聞いていると、それは『奇跡的な効果』ではなく、患者さんの立場で『奇跡に見えてしまう効果』なんです。先生にとっては鍼灸はここまでのことができるんだ!という真実の証明なのかもしれません。半世紀にわたり、70万人以上もの患者さんの治療をおこなってきた、先生の経験と事実を、むしろ奇跡と言ってしまっては失礼な事でしょう。
 
帰りに、関東支部長の尾崎先生から『来年も(特別講演会)よろしくお願いします』とご挨拶頂きました。来年も本校を会場に開催して頂けるようですので、今回参加できなかった方は是非来年をお楽しみに!鍼狂人を自分の目で見てみて下さい。私のブログなんかでは伝えれないものを、感じることができますから!
 
改めまして、藤本蓮風代表、尾崎真哉先生、竹下 有先生、北辰会スタッフの皆様ありがとうございました。
 
藤本先生のご著書は今後のブログでも紹介していく予定ですのでお楽しみにー。
 
 
※HPの写真は藤本蓮風先生の許可を得て撮影&公開しております。