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【東洋ブログ 大希のつぶやき】伝統鍼灸学会に行こう!&書籍紹介②

2019年11月20日イベント

さて、2回目となる学会の見どころ&書籍紹介ですが、今回は2冊あるのですが、1冊目は『治療家の手の作り方 -反応論・触診学試論‐』形井秀一著(六然社)、2冊目は 『新日本鍼灸学会草紙』(六然社)です。


『治療家の手の作り方 -反応論・触診学試論‐』が出版されたのが2001年!、と、今回このブログを書くにあたって手に取りビックリしました。そんなに経つだんと。しかし、まったく色あせない内容は、著者の形井秀一先生の凄さか、出版社の寄金丈嗣さんの凄さか…はい、お二人に大変お世話になっている私ですが、二人とも凄いんです。ってことで、日本伝統鍼灸学会会長の形井秀一先生の『治療家の手の作り方 -反応論・触診学試論‐』を皆さんは知っているだろうか?

知らない学生さんは、ある意味ラッキーです。知らないのがラッキーって?そうなんです、学会二日目に先生に会うことができるからー!今年の日本伝統鍼灸学会学術大会では、学生さん向けのセミナーが開催されます。大会二日目10:00~12:00、タイトルは特別学生セミナー「治療家の手の作り方・身体の作り方」です。3人の演者により、学生さんの爲だけに会場と時間を特別に確保しました。その3人の内の二人が、本学会会長で『治療家の手の作り方 -反応論・触診学試論‐』(六然社)の形井秀一先生。そして、その本を出版している六然社(りくぜんしゃ)代表の寄金丈嗣さんです。

形井先生といえば筑波技術大学の元教授、そして、日本と中国と韓国の3か国が中心になって行われた経穴部位国際標準の爲に活動された「第2次経穴委員会」の委員長、そして日本伝統鍼灸学会の学術部長も務められ現在会長の凄い先生です。私の勝手な思い込みですが(笑)、鍼灸師で「教授」って肩書だと、頭が良くて研究しているイメージなんですが、先生は研究はもちろんのこと教育も臨床もやられており、私にとっての目標ともなる理想の鍼灸師さんでもあるのです。お酒も好きです(笑)。ビールは常温を好みます。

2013年の全日本鍼灸学会学術大会で「患者のための鍼灸学とは何か?」というディスカッションが行われました。パネリストは臨床家代表が一人、研究者代表が一人、そして私が教育者代表として発言をしたのですが、このディスカッション、実は若手の鍼灸師が今何を考えて行動しているのかを先のテーマをきっかけとして、学会の所謂「お偉いさん方」にも若手の考えを知って欲しいという裏プロジェクトが発動して行われたものでした。当日「お偉いさん」はお忙しいようで檀上からはお見掛けできませんでしたが、会場からコメントをして下さったのが形井先生でした。「ただ、そばにいる患者さんの爲に…」から始まった先生のコメントは忘れません。檀上で私はうるうるしてました。

そんな形井先生とは、お仕事を一緒にさせて頂くことが多く(ありがたいです)、『新版経絡経穴概論』(医道の日本社)の作成、日本伝統鍼灸学会の役員として大変お世話になっております。プライベートで韓国にも行きました(笑)。先生はどの流派にも属さず古典と現代医学の両方の立場から鍼灸の研究、教育、臨床をやられております。そんな先生が鍼灸師に欠かせない「触診」つまり手による患者情報をインプット技術の本としてまとめられたのが『治療家の手の作り方 -反応論・触診学試論‐』です。会の会長って何だか遠いような高いところの存在ですが、伝統鍼灸を学びたい学生さんの目線に立って、今回の学生セミナーのトップバッターをお願いしております。これは見ないわけにはいかないでしょ!そう思いませんか。


さて、もう一人の演者である寄金丈嗣さんの説明の前に、3人目の演者を紹介いたします。

長野 仁(ひとし)先生です。
森ノ宮医療大学教授、というより「古典ハンター」として日本の鍼灸古典の研究に関して、もはや先生の右に出る者はいません。腹診の研究も凄すぎるのですが、学生さんに分かりやすいところで説明しますと「小児鍼」に関する新たな発見は凄いです。小児や敏感な大人の治療に用いられる所謂「刺さない鍼」の「小児鍼」ですが、そのルーツってもともとは「刺絡(しらく)」だったんですよ!血を出す激しい治療の印象を持つ刺絡が、刺さない鍼のルーツだったとは…超驚き。そして最近では、鍼やお灸をする「ツボ」っていう日本語のルーツまで解き明かそうとしている長野先生…あっ、この内容はおそらく講演して下さると思います。「限定で(笑)配布資料を配ろうかな」っっておっしゃってましたので。そんな先生ですが、ここまでの話で先生をイメージすると古典研究者ですよねー。でも先生、開業鍼灸師なんですよ。やばいっす。ちなみに、形井先生と長野先生は夜中何時に電話しても出て下さいますし、メールもすぐに返事がきます。いったいいつ寝ているのだろうかといつも思っています。

そんな長野先生の治療家の爲の手の作り方は、形井先生とは逆のアウトプットの紹介です。つまり、鍼を持つ、お灸をする手っていうのはどんな手であるべきか、簡単にいうとどんな動きや柔軟性が必要かというのを説明していただき、先生が考案した治療家の手を作るトレーニング方法である「唯掌論(ゆいしょうろん)」を紹介して頂きます。で、その「唯掌論(ゆいしょうろん)」と鍼の「押手」に関する先生の論文(写真付き)が読めるのが、『新日本鍼灸学会草紙』(六然社)です。


ってことで、今回紹介した2冊の本の出版元が寄金丈嗣さんが代表の六然社さんなんです。
寄金さんは本校の卒業生(大先輩です)で、鍼灸マッサージはもちろん民間医療から漢方にも詳しく、中国武術、古武術にも大変詳しい方です。あの「ちくま書房」からも『ツボに訊け!-鍼灸の底力』を出されており、私も大変多くのことを教えていただいており、そして刺激を受けています。寄金さんは専門学校の非常勤講師も一時されておりましたが、いわゆる「先生」って感じの雰囲気の方ではないです(武術家って感じの雰囲気です)。でも、まー、寄金さんのくらい「学」も「術」も教えるのが上手い方を私は知りません。寄金さんに影響をうけた内容については雑誌『医道の日本900号』で私が「あはき臨床 私の学び方 伝え方』で触れていますので興味のある方は母校の図書室にでも行ってみて下さい。
※寄金さんの『ツボに訊け!-鍼灸の底力』も雑誌『医道の日本900号』も絶版です。


で、そんな寄金さんが、形井先生と長野先生の後に、身体の作り方を説明して下さるという超豪華なセミナーなんです。この3先生が一度の集まりこんな感じでセミナーやるなんて二度と無いと思いますよ。もちろん今回が初めてです。

やばいでしょ!聞きたいでしょ!参加したいでしょー!
鍼灸学校の学生諸君、土日に何の用事があるか知りませんが、こんな日本伝統鍼灸学会学術大会に参加しないなんて、もったいないと思いませんか?何のための連休なのか、何のために鍼灸学校に在籍しているのか考えてみよう。いや、考えている暇も迷っている暇もない。参加しないなんてありえないよー。
※本ブログで紹介した「特別学生セミナー」は字のごとく、「学生」さん(鍼灸学校、免許未修得)のみ参加可能です。
 
特別学生セミナー司会
専任教員 高橋大希