東洋医療総合学科Blog

【東洋ブログ 大希のつぶやき】顔面神経麻痺の鍼灸実技授業

2024年05月08日授業の様子

顔面神経麻痺という病気をご存じだろうか。「顔がまがる」、「眼が閉じにくい」、「口が上手く閉じられず水がこぼれる」などの、顔の筋肉が動きづらくなる病気です。髙橋の大好きな北野武さん(殿、ビートたけし)さんが昔になった病気として有名です。急性期の場合には病院への受診が勧められておりますが、鍼灸院で遭遇することも多いです。中国でも多くの患者さんが鍼治療をうけています。


本日は急性期を過ぎた患者さんの鍼灸治療を実技で学んでいます。しかし、使う道具はいつもの鍼と灸とはちょっと違う。顏に近づけている道具が見えるだろうか。


棒灸(ぼうきゅう)です。お灸は艾(もぐさ)と呼ばれるヨモギの葉の裏に生えている毛を集めたものなのですが、この艾をタバコのように棒状にして、皮膚に近づけて温めるのが棒灸です。患者さんの状態を確認しながら、火傷しないように、近づきすきないように、離れすぎないように行います。


はい、ってことでファンキー雅明先生の授業です!麻痺が残っている顔面部への棒灸で温めますが、反対の手の顏の筋肉を伸ばしながら行っていきます。両手が同時に動かないとダメですね。まっ、うちの3年生なら余裕か(笑)


こちらは鍼。ちょうど助手で入っている田坂先生が指導中でしたが、鍼は鍼でも「刺さない鍼」と言われる「鍉鍼(ていしん)」です。今から2000年以上前の古代中国では鍼は9種類ありました。一般的な刺す鍼の正式名称は「毫鍼(ごうしん)」と言われるのですが、鍉鍼は刺さない鍼の一つです。


一番上の短くて光っているのが、金メッキのもの。学生さんもこれを使用します。商品名は「小里式鍉鍼(こざとしきていしん)」。昭和の時代に活躍された盲人のはり師、小里勝之先生の考案されたデザインです。あっ、2000年前の書物には形状の記載はあるんでうが、イラストがないので当時の形状を想像するしかないですからねー。小里先生凄い先生です。年代的に高橋は先生の著書でしか存じ上げませんが。ちなみに、こちらの金額は1100円です。「カナケン」さんで購入できます。

で、下の二本はファンキー雅明先生の私物。二本とも同じ形状で先生のオーダー品です。上のシルバー色のが純銀製で、一番下のが金製の鍉鍼。ちなみに、銀の鍉鍼で、上記の小里式鍉鍼の10倍以上の金額で、金のほうが…。あっやめときます。近年、金の値上がりで鍼も大変高価になっています。ちなみに先生のオーダー先は「青木実意商店」さん。全て手作りの鍼なのですが、毫鍼を本校では授業で使用しております。学生中に「本物」に触れることはとても大事。ちなみに私高橋の使用している鍉鍼も青木さんのものです。いや、ホントすごい鍼ですよ。青木さんの鍼は。

カナケンのHPはこちらから
青木実意書店のHPはこちらから

こんな感じで鍉鍼を鍼に当てていきます。刺さないのにこれが効くんだわ。


雅明先生がデモしてくれます。


さて、雅明先生の授業では、先生のおすすめ本をよく紹介してくださいます。今回も写真を撮りにいったらいつもの感じで並んでいました。タイトル気になるよねー。


上段左から
〇鍼灸真髄 代田文誌著
〇図説 深谷灸法 入江靖二著
〇秘法一本鍼伝書・万病に効く治病灸と強壮灸の秘訣・秘伝名灸図解 柳谷素霊著
〇鍼灸臨床医典 間中喜雄著
〇超旋刺と臨床のツボ―鍼灸問わずがたり 首藤傳明著
下段左から
〇鍼灸治療基礎学 代田文誌著
〇灸療夜話 入江靖二著
〇経穴の使い方鍼の刺し方―上地先生の実戦鍼灸学 鍼灸素霊会著
〇昭和鍼灸の歳月 上地栄著
〇鍼灸臨床生情報 (追試してみたい疾患別症例集 1) 代田 文彦 編集 玉川病院生情報会 著
〇痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典 井尻慎一郎著

ですね。右下の『痛いところが~』が以外は当然高橋も持っていますし、読んでおります。これ以外は全て鍼灸関係の専門書です。雅明先生の紹介してくださったこれらの本で持っていないものがあったら、すぐに買いましょう。

髙橋的には、これらの本を持っていない、読んだことが無いって時点で鍼灸師として終わってます(笑) 
上記の本の解説とかもしたいので、そのうちブログにアップしますね。

ってことで、雅明先生の鍼灸応用実技「顔面神経麻痺」編でした。開業鍼灸師である雅明先生の、普段の臨床でバリバリ使っている技を惜しげもなく公開していくのが、臨床特化型の3年生の授業になります。ちなみに、写真を撮るのを忘れてしまいましたが、先生の『配布資料』は卒業してからも使って感謝しているって卒業生がとても多いよね。鍼灸の凄さを教えてくれるのも先生の授業の特徴です。さて、学びたい方は是非、東京衛生の門を叩いてください。